豪州不動産事情/2016年8月の不動産の見通し

不動産のプロに聞く 豪州不動産事情

第51回
今月の不動産の見通し

年度末決算も終わり、新会計年度が始まりました。年度の後半からは不動産価格の動きは鈍くなると予測されていましたが、先週行われたオークションでは活発な様子が見られ、落札率は80パーセント前後と、当初の予測は当たらず、未だに緩やかな上昇を続けているようです。

2008年9月に起こったリーマン・ショックから約7年11カ月もの月日が経ち、豪州全体で見ると54.9パーセントの不動産価格上昇を記録しました。都市別では、シドニーが87.9パーセント、メルボルンが71.8パーセントと政策金利が低迷している中でも、不動産物件価格は上昇し続けているのが分かります。特に12年~16年6月までは激しく価格が高騰し、シドニーは59.3パーセント、メルボルンは40.5パーセント、ブリスベンは18.3パーセントもの値上がり率を見せました。

今年に入り外国人向けの住宅ローンの貸し出しが厳しくなったり、印紙税がプラスで加算されるなど、外国人に対する不動産購入の状況は過酷なものとなっています。それでもまだ豪州の住宅需要や不動産投資への魅力も相まって、活発な不動産取引の動きは当面続くことが予想されます。

ただし、これまでのような大幅な価格上昇は見込めず、19年までに成長が見込める都市として、ブリスベンが7パーセントの上昇が予測されてはいますが、シドニーとメルボルンではこのような伸び率は予測されていません。

また、今後もシドニー、ブリスベン、メルボルンでは大型マンションの開発が続き、更に郊外では戸建て住宅の建築供給も増える見通しです。5月末に391世帯を1時間もの速さで完売したダーリング・ハーバーの大型物件は、既にリセール(転売)で市場に出てきています。例えば、1ベッドルーム95万ドルで取引された物件が、現在は市場で110万ドルで販売されています。

この大型物件の完成は来年末を予定していますが、こちらもバランガルー(Barangaloo)の物件のようにオフ・ザ・プラン(完成前の物件)で100万ドルの物件が完成時には150万ドル前後で取引され、3割近くのオーナーが完成した後に利益を得られるのではと言われています。一方で、外国人向けの融資が受けられず不動産購入したにも関わらず、決済が不可能になった物件も市場には出てきており、これらのことを加味すると価格が乱れる可能性もあります。

これまでの家賃相場も緩やかな上昇ではありますが、今年前半にはシドニーで平均して約5パーセント前後の上昇を見せました。当初は後半には相場が下がるであろうという見方が強かったのですが、今のところその兆しは無さそうです。


豪州不動産事情

 

スターツ・インターナショナル・オーストラリア
取締役シドニー支店長
寺田環
NSW州不動産業者免許(フルライセンス)所持

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る