法律相談室/10月は性的暴力啓蒙月間

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日豪プレス 法律相談室

第12回
10月は性的暴力啓蒙月間

10月はオーストラリアの性的暴力啓蒙月間です。児童性的虐待への組織の対応を調査する特定委員会(Web: childabuseroyalcommission.gov.au)にはたくさんの悲痛な“被害者の声”が届いており、現在特に危惧されるのは、政府機関・教会・そのほかの組織の下で性的暴力を受けた子どもたちです。この機会に、被害後の法的・社会的対応に関心を持っていただければと思います。

 

法律面での「性的暴力被害」への対応

まず性的被害者の民事的な保障の権利を、刑法下の権利とは別に考えてみましょう。暴力(性的暴力も含む)で傷害を負った場合、正当な弁明がない加害者に対して賠償請求を起こすことが可能です。それだけでなく、加害者と関係のある組織(政府機関や教会など)に対して、被害者は民事訴訟を行う権利を有する場合もあります。こうした権利は、子ども・大人問わずすべての性的暴力被害者に与えられます。

被害者には、民事的な保障としてどういった基準で賠償金が支払われるのでしょうか。民事では、暴力被害による被害者の生活への影響を適切に測るため、刑事補償よりも幅広い考察が行われます。例えば、治療費(カウンセリングなど継続治療費を含む)、痛みと苦しみ、仕事への影響や所得損失が補償対象となります。被害者が子どもの場合は、将来の仕事・所得水準に大きく関わる学業達成度への影響も考察対象となり得ます。

実際のところ、民事賠償請求でしばしば問題となるのが「加害者の支払い能力」です。これについては特定委員会で対策が練られており、子どもたちと関係する組織に対し、加害者を出したケースをカバーする保険加入の義務化も検討されています。

 

被害者へのサポート

性的暴力の被害者をサポートするのは、法律家だけではありません。カウンセリングの提供や、その後の社会生活についての周知活動を行う組織の継続的努力も欠かせないものとなっています。ゴールドコースト・センター・アゲンスト・セクシャル・バイオレンス(Web: www.stopsexualviolence.com)や、東京のライトハウス(人身取引被害者サポート・センター、Web: lhj.jp)などの組織活動は、互いを尊重し合う人間関係の大切さを人々に広めています。変化はいつも人と人のつながりから始まることを信じ、これらの活動が明るい未来をもたらすとポジティブに考えていきましょう。

さて次号は、民事の賠償請求手続きにおいてタイム・リミットが問題となった例をご紹介します。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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