法律相談室/法律用語とコミュニケーション

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第14回 法律用語とコミュニケーション

法律用語の中には普段聞き慣れない特徴的な言葉が多くありますので、いざ必要になった時に「法律の話は難しくて知らない外国語を聞いているみたい」と感じる人もいることでしょう。

例えば“Caveat”(一般的な意味:警告、条件、法律用語の意味:手続き差し止め通告)や、“Caveat emptor”(意味:買い主に用心させよ)などの法律用語はどこから来たのでしょうか?実は1500年代のラテン語“cavere”(意味:気を付ける)が語源です。返金保証などが無かった時代、Caveat emptorは消費者への必須アドバイスでした。“Quid pro quo”もラテン語から来た表現ですが、今でもしばしば裁判所でこの言葉が用いられます。「あるものは、それと同等価値のものと交換される」という意味で、同等価値に見合うまで、あるものの量的要素が分配調整されます。

2カ国語でのコミュニケーション

日本人がオーストラリアで法的案件に関わった場合、法律の話には日本語と英語の2カ国語が使われますので、難易度はさらに高くなります。日本人がオーストラリアの法制度を理解する必要があると同時に、オーストラリア人弁護士は日本人のバックグラウンドや日本の制度まで知る必要があります。

また、両者間のコミュニケーションでは言葉の選択も重要です。例えば、“pathway”(小道)という日常単語があります。オーストラリアの弁護士は「法的手続きの方向性」や「次の段階」について説明する際にこの単語を使いますが、日本人は「なぜ弁護士が庭の小道の話をしているのか?」と混乱するかもしれません。

心情面での注意点

弁護士としてのコミュニケーションにおいて求められるのは、専門的なトピックの効果的な説明だけではありません。私は時折、重い法的案件に関わることもあり、オーストラリアで起きた事故で子どもを亡くした母親に話をする、といった心情的に難しい場面も経験します。こうした場面におけるコミュニケーションで言葉の選択よりもずっと大事なことは、声のトーンやスピードなどの話し方だと思います。これには言葉を発するタイミングも含まれ、つまり会話を進める時には「沈黙の時間」も重要だと考えています。言葉を続けることよりも、トピックの心情的な難しさを認識したり、考えたりする時間を持つことがコミュニケーションとして有効な場合もあるということです。

今回のコラムは、偉人エイブラハム・リンカーン(元弁護士の米大統領)の“Caveat”で閉めたいと思います。“If I were two-faced, would I be wearing this one?”(もし私に2つの顔があったなら、この顔にしただろうか?)


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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