法律相談室/非居住者の税制変更代案と、法廷にまつわる英語

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第19回 非居住者の税制変更代案と、法廷にまつわる英語

前回は、ワーキング・ホリデー(WH)でオーストラリアに滞在中のたくさんの若者たちにも影響があるかもしれない、豪連邦政府による税制変更(2016年7月1日施行)案についてお話ししました(Web: nichigopress.jp/account/clinic/122065)。その後に進展があり、豪連邦政府は現在、この税制変更を行う代わりに、別の方法での政府収入アップを検討中とのこと。例えば、WHビザ申請料金(現在440ドル)の値上げ案などです。

ところで、留学やワーホリでオーストラリアに来る日本人の目標の1つは、英語の上達だと思います。第2言語としての英語習得は、決して簡単ではありませんよね。私は先日、ブリスベンの高等裁判所で行われた1週間の審理(民事の賠償請求裁判)で、法律の適用にも影響を与えるほどの「英語の力」を目の当たりにしました。保険会社が自分たちに都合の良い証拠ばかりを挙げていることに対し、私たちリーガル・チームの法廷弁護士(QC)が「チェリー・ピッキング(訳:良い物だけを選ぶこと)」という見事な英語表現を使って、それを指摘することに成功したのです。もしこれを英語のビギナーが聞いたなら、「交通事故の裁判で、なぜサクランボ狩りの話をしているのだろう?」と疑問に思うことでしょう。私たちは、チェリー・ピッキングという言葉で、保険会社の好ましくない行為を端的に表せたと同時に、判事をハッとさせるほどの強い印象を与えることができたと自負しています。

ところで、私たちリーガル・チームの法廷弁護士「QC」とは、何の略かご存知でしょうか? 正解は「Queen’s Counsel」です。英国の君主が女王(Queen)であった時代、法廷弁護士の頂点に立った者がこう呼ばれていたことが起源です。現代のQCは、最高レベルに達した弁護士に与えられた地位です。

法廷での英語の例に戻りましょう。私たち弁護士が裁判の準備をしているときによく使うのが、オーストラリア映画『The Castle』(日本未公開)で、敏腕さには欠けるけれども気立ての良い弁護士が、判事に法律第何条に違反するのか問われた際に使ったフレーズです。「What Section? There is no one Section… it’s just the vibe of the thing……”(えーっと、どの条文でもないです。単にそう『感じる』のです)」。あなたの周りのオーストラリア人が家族や友達と口論になった時にユーモアを交えて、けんかの原因を「the vibe」と表現したなら、それは上記の映画のフレーズが一般化したということです。

もしあなたがオーストラリアの友達と議論になり返答に詰まってしまったら、「とにかく『そう感じる(the vibe)』んだよ!」と押し切ってしまうのも手かもしれません。ぜひ試してみてくださいね。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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