法律相談室/動植物に関するオーストラリアの法律(その2)

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第25回 動植物に関するオーストラリアの法律(その2)

前回はオーストラリアへの動植物持ち込みの規制についてお話ししましたが、今回はオーストラリア国内に生息する動物に関する法律を見ていきます。

オーストラリアの在来動物は、とりわけ「環境保護・生物多様性保全法(1999年)」という法律によって、絶滅危惧種はもちろんのこと、例えば有袋類のビルビーやワラビー、亀、多くの鳥類、サメなどの海洋生物までも保護されています。これらの動物を殺すことは犯罪で、最長で禁固2年と最高54万ドルの罰金が科せられます。しかし、もし自然の中で(例えばブッシュ・ウォーキング中に)、絶滅寸前かつ人間に危害を加えそうな蛇に出くわしてしまった場合、あなたならどうしますか?絶滅危惧種の保全に関心が向けられているオーストラリアでその蛇を殺してしまったなら、罪に問われる可能性が高いのです。

オーストラリアでは、人に飼われている動物も法律によって守られていますが、動物虐待防止を目的としたこの法律の適用範囲については、現在見直しが行われています。オーストラリア各州には、犬や猫などのペットの安全を確保するための法律がありますが、現在「家畜にもこの法律を適用するかどうか」が論争の的なっています。例えば馬は、その法律によって、故意の虐待行為から適切に守られています。しかし、養豚や採卵鶏については明確ではありません。つまりその法律は、犬や猫などのコンパニオン・アニマルをしっかり守る一方で、営利目的で飼育されている動物への関心に欠けているという性質があります。

こうした“法のねじれ”について、一例を挙げてみましょう。脊椎動物である魚は動物学的に動物の1種ですが、動物虐待防止のためのこの法律で言うところの“動物”には含まれていないかもしれません。なぜなら、魚は商業目的で養殖され、虐待ともいえる方法(窒息や押しつぶし)で殺されることもあるからです。

オーストラリアの採卵鶏に関する法律も、今、旬なトピックの1つです。オーストラリアでは毎年、卵生産のために何百万という雌鶏が繁殖されています。法律上、こうした雌鶏は“資産”(Live-stock=生きている資源)であり、商業目的で繁殖されている雌鶏は法律で有意義に保護されていないことが議論となっています。例えば、採卵鶏の一生は、卵生産農場に輸送される前の孵化場で雄雌に分けられ、ワクチン接種を受けるところから始まります。この時点で、産卵しない雄鶏は産業廃棄物と認識され、ガスや高速粉砕によって殺されてしまうのが一般的です。これを、動物愛護・動物福祉という概念に当てはめて考えたらどうなるでしょうか?広くは知られていませんが、毎年1,200万ものヒヨコが、こうした運命の下に産まれているのです。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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