法律相談室/パスポートにまつわるルール

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第26回 パスポートにまつわるルール

日本では国際テロなどの犯罪を防止するため、パスポートのセキュリティー(偽造対策)を強化する方針だそうです。2023年までに、オーストラリアやヨーロッパ同様、顔写真や氏名が印刷されたページをプラスチック板に変更するとのこと。また、各都道府県で行っている発給業務を集中作成方式に変更し、セキュリティーの向上を図ることも決定しているようです。

日本のパスポート上の氏名は漢字で記載されていません。小学校で習うのは訓令式ローマ字であるにもかかわらず、パスポートの姓名欄で使用されるのは、全て大文字のヘボン式ローマ字と決まっています。言語学的な正確性では劣るようですが、オーストラリアなど英語圏の人びとにとってより分かりやすいのがヘボン式ローマ字です。

しかし、2000年4月からはヘボン式の変形使用も一部認められています。例えばイトウ(ITO)さんは、長音を表すH付きの「ITOH」も使用できるようになりました。

また、パスポート申請の際の必要書類の1つとなるのが顔写真です。申請が差し戻される理由として最も多いのがこの写真の問題で、およそ9割の申請写真が規格外だそうです。出入国システムが、写真と本人とを見比べやすいように、ガイドライン上、笑った顔やしかめっ面もNGとされています。

ところで今、パスポートに笑った写真を使用できないことがフランスで裁判となり、話題を呼んでいます。国民をニコッとさせたいという思いから、ある陽気なフランスの公務員が、パスポート写真の笑顔禁止規格について、ほぼ勝ち目はないと思われる裁判に持ち込むことに決めました。内務省が定めた規則である「口を閉じた無表情であること」に違反しているという理由で、彼が申請したパスポート写真が2年前に拒否された時から、この公務員の冒険の旅が始まったのです。彼は法的主張の中で、近頃のフランス国民は一見喜びに満ちた生活を送っているように見えるものの、相次ぐテロ事件に怯えるなど、実は悲観的になりつつある、と言っています。そして、当局の仕事はフランス国民の笑顔を責めて意気消沈させることではない。笑顔写真禁止の規制緩和は、国民のムードを上げるのはもちろんのこと、世界におけるフランスのイメージ・アップになる、とも主張しています。

なお、1986年にアメリカで始まったビザ免除制度の一環により、オーストラリア入国時に印刷された査証(ビザ)は不要です。この制度に参加している国の間では、短期間の滞在(通常90日以下)であればビザなしで入国でき、日本は88年に、世界で2番目にこの制度に参加しました。オーストラリアやアメリカの場合は、渡航前に電子渡航許可(有料)を取得しなければなりません。

最後に、パスポートにまつわるトリビアを1つ。日本のパスポート第1号は、1867年パリ万博参加のために海を渡った曲芸団の一員、隅田川浪五郎に発給されました。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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