法律相談室/GSTの対象となる物品・サービスとは?

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第28回 GSTの対象となる物品・サービスとは?

私がもしオーストラリアに住むフリーランスの弁護士で、日本の出版社に依頼され、日本で販売される本の執筆・編集に携わったとしましょう。この仕事に関して日本の出版社に請求書を送る際には、提供したサービスがオーストラリアの物品・サービス税(GST/10パーセント)の課税対象かどうかを考えなければなりません。カギとなるのは、そのサービス(仕事)が「オーストラリアに関連しているか」です。オーストラリアの税法は、GST対象となる物品・サービスの提供について、以下4つの基礎的な基準を設けています。

① 物品・サービスの提供の対価(お金)を受け、
② 事業の推進過程で物品・サービスが提供され、
③ その提供はオーストラリアと関係があり
④ GST登録されている、もしくはGST登録が必要な(つまりGSTを徴収しなければならない)事業主である。

先に挙げた例で、本は日本で出版される、つまり、私のサービスはオーストラリア国外で利用されることから、日本の出版社に宛てた私の請求書にGSTを含める必要はありません(GST対象外)。

別の例として、もし私がケアンズ在住の日本人に、法的アドバイスを書面で提供した場合はどうでしょう。国内で準備されたアドバイスは、オーストラリアに関連したサービスとなり、GSTの課税対象です。しかしある条件の下、海外での消費・使用のために輸出された物品・サービスは、大まかに言ってGST非課税になります。

ここで、オーストラリア国税局(ATO)が挙げている、GST課税の複雑な例を紹介します。養殖のスペシャリスト「Jay Co」は日本を拠点とする会社です。オーストラリア拠点のエビ養殖会社「Aqua Co」と一括60万ドルの契約を結び、Jay CoはAqua Coに設備を販売(Jay Coがオーストラリアに輸出)、その契約内で設備使用のための初期研修も行われました。

契約の一部分である研修は日本で実施されたため、研修自体にはオーストラリアとの関連性はありません。契約上の物品・サービスの提供は、部分的にオーストラリアに関係しているという状況のため、オーストラリアに関連する部分と関連しない部分を分けて考えるべきなのです。

オーストラリアに関連した取引とは「オーストラリアでの設備提供」の部分で、オーストラリアに関連しない取引とは「日本で行われた研修」の部分を指します。

Jay CoはGST登録された会社なので、オーストラリアに関連した取引部分(設備提供)はGSTの課税対象です。全体取引額の8割が設備提供にあたると算出し、Jay Coはその(契約金額60万ドルの8割である48万ドルの)10パーセントをGSTとして納めるというわけです。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として24年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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