法律相談室/旅行者の運転免許について現在検討されていること

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日豪プレス 法律相談室

第44回 旅行者の運転免許について現在検討されていること

夏休み(クリスマス・ホリデー期間)中の交通事故死傷者が多数なのを受け、オーストラリアでは海外からの旅行者(以下、旅行者)に特別運転免許を取得させようという計画が持ち上がっています。2017年同国では、1,000人以上の命が交通事故で失われました。特に、夏休み中は自動車事故が多発し、NSW州ではこの期間に1,400件以上の深刻な自動車事故が発生するという残念で悲しい結果でした。こうした交通事故死傷者数の増加から早急な法律の見直し・改正を求める声が上がっています。同国のマルコム・ターンブル首相もそうした声に同調しています。

検討案の1つ目は、「同国で運転する旅行者にテストを実施し、それをパスすれば“Tプレート”を発行する」というものです。つまり旅行者は、レンタカーを借りる前にテストを受け、自分の運転技能を証明しなければなりません。論題的には1つ目と同じですが、2つ目の案は、「同国でレンタカーを借りようとする全ての旅行者に安全講習ビデオの閲覧を義務付け、レンタカー会社にはより厳しい貸出基準の設定を強いる」というものです。

メルボルン郊外のグレート・オーシャン・ロードは、同国を訪れる旅行者に人気のスポットです。VIC州道路交通規制機関の統計によると、グレート・オーシャン・ロードで起きた自動車事故(12年7月~17年6月)の21%が外国人ドライバーの運転でした。しかし、地元(オーストラリア人)のドライバーも無免許、疲労、飲酒・ドラッグでの運転や、携帯電話の使用などで事故の原因を作っているため、まずは道路交通・自動車運転に関する国内教育や規制向上の余地があるのではないか、といった見方もあります。

現行の規制はどうなっているのか?

旅行者は、英語で記された国際免許証(英語でない場合は、翻訳書類が必須)を携帯すれば同国で車の運転が可能です。現行の規制では、国際免許証の保持以外、テスト(運転試験)はありません。また、ニュージーランドからの旅行者については、オーストラリア国内のドライバーと同等に扱われます。

他の国々ではどのようなシステムになっているのか?

旅行者の運転に関するニュージーランドの規制は、オーストラリアと同じです。異なる点はニュージーランドでは車を運転しようとする旅行者に対し、「ビジター・ドライバー・トレーニング・プログラム」という教育プログラムの提供が準備されていることです。ただし、これは希望者のみが対象なので必須ではありません。幾つかのレンタカー会社では、このプログラムを受講し修了証を取得した旅行者向けにディスカウントが用意されているようです。


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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