法律相談室/オーストラリアで発生した自動車事故のCTPについて

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日豪プレス 法律相談室

第45回 オーストラリアで発生した自動車事故のCTPについて

交通事故でけがを負った場合、誰が賠償金を支払うのか?

強制賠償責任保険(CTP)は日本と同様、車やバイクを購入する際に、法律で加入が義務付けられている保険です。CTPは自動車事故で相手方を死傷させてしまった場合にのみ適用され、保険料は毎年支払う自動車登録料と一緒に納めます。

オーストラリアでは賠償金は加害者ではなく、事故を起こした車を補償するCTP保険会社が支払います。賠償請求は保険会社との手続きなので、過失を犯した個人の支払い能力の有無は全く問題になりません。

賠償金は、どうやって査定されるのか?

賠償金は、主に以下の要素によって査定され決まります。

  • 実際に掛かった費用

    診察・治療・入院・リハビリ・処方箋費用、通院の交通費などの領収書は必ず保管しておきましょう。これらは、手続きの途中でも費用が発生した時点で保険会社から返金されます。更に、事故直後に要した治療費が海外旅行保険で全額補償されたり、日本の健康保険制度によって一部負担された場合も役立ちます(詳しくは専門家にご相談ください)。

  • 苦痛への賠償、生活の楽しみを損失したことへの賠償

    被害者の健康への影響は1人ひとり違います。その大きさを金銭的価値に置き換えるには専門の医師による障害度判定が必要となり、けがの度合いで賠償額が異なります。

  • 過去の経済的損失

    経済的損失は、「事故で発生した所得損失×事故発生日から賠償請求手続き完了時までの日数」で計算されます。例えば事故の影響による休職、勤務時間の減少、または部署異動が必須になり給料が減少するなどが「事故で発生した所得損失」に当たります。

  • 将来の経済的損失

    事故により将来発生すると予想される所得損失、年金受給資格損失の可能性などが考慮され、予想退職年齢までの所得損失額を算出します。

  • 家庭での支援

    家族・友人が被害者へ、事故以前には不要であった日常生活の補助などを行う時間に対する費用も賠償金の査定要素に含まれます(法律で規制されている時間を超えた場合のみ含む)。

  • 将来の医療費、その他関連する経費

    事故で負った身体的・精神的傷がいがいかに将来の健康に影響を及ぼすかなどが考察されます。

  • このように、賠償金の査定は非常に複雑で専門的知識を要するので、オーストラリアでCTP請求を進めることになった場合、弁護士などの専門家に相談した方が良いです。


    ミッチェル・クラーク
    MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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