法律相談室/人口知能の発達と自動運転車の未来 その2

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第47回 人口知能の発達と自動運転車の未来 その2

先月号でお伝えした2018年3月米国でウーバー(Uber)社の自動運転車が起こした事故ですが、その事故状況をよく検証してみると、歩行者が無理に道路を渡ろうとして、自ら身を危険にさらした可能性もあります。

安全性に関する全般的問題とは別に、自動運転車の導入によって多くの法的問題が提起されています。例えば、「人間が運転していない車が起こした事故では、一体誰が法的責任を負うのか」というのも問題の1つです。

もし自動運転車の利用が広まり、皆がそれに頼る社会になったとしたら、現在の人身傷害賠償制度の根本的な見直しが必要だと思われます。

現在は、年次の車両登録更新時に納められたCTP(強制賠償責任保険)保険料が蓄えられ、自動車事故で負傷した被害者に対して経済的サポートを提供する際に、その基金が利用されるという仕組みになっています。また、事故の被害者には相手の運転者に過失があったことを証明することで、賠償金を得る権利が発生します。

恐らく自動運転車が関わった事故による被害者は、その製造元に対して賠償請求を起こせるようになるのではないでしょうか。あるいは、自動運転車に運転を任せても良いのは、事前にトレーニングを受けた人に限る。つまり、その人が“自動運転車のスーパーバイザー”となり、そうした場合スーパーバイザーが事故の責任を負うことになるのかもしれません。

いずれにしても、今後、私たちの生活により深く自動運転車が関わってくるのならウーバー社の自動運転車が起こした死亡事故を発端に、自動運転車にまつわる責任の所在を明確にする法律を作らなければならないことは、間違いないでしょう。

自動運転車に対するオーストラリアの現在のスタンスは「様子見」で、今のところは「人間第一主義」を続けているといった感じです。

「恐らく私たちは、AIの開発・発展や、より上のレベルを目指すことだけでなく、AIがもたらす人間にとっての利益を考えることを、少しの間止めるべきです」(2017年11月スティーブン・ホーキング博士)


エマ・オブリー
豪州弁護士。2015年6月MBA法律事務所入所。英日バイリンガルを生かし、同所の日本語部門で、交通事故や労災の負傷者の法律相談に日本語で対応する

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