法律相談室/フライドポテト転倒裁判

知ってると知らないでは大違い!
日豪プレス 法律相談室

第51回 フライドポテト転倒裁判

クリスマスの時期は、皆さん、愛する人へ贈るプレゼントを探しにショッピング・モールに足を運ぶ回数が増えるのではないでしょうか。しかし、ショッピング・モールのタイルの上を歩く時、足元に気を付けなければならないなんて誰が考えるでしょうか?

毎日たくさんの人が行き来するショッピング・モールですが、建物の床材にはなぜか鏡のようにピカピカで、いかにも滑りやすそうなタイルが使用されていることがほとんどです。ショッピング・モールの開発業者が安全性よりも見た目の美しさを優先している結果、モール内では多くの転倒事故が発生し、人身傷害の賠償請求案件も増えています。中でも最も有名な人身傷害裁判が、たった1本のフライドポテトが原因となった転倒事故です。

2004年、片脚を失っているため松葉杖をつきながら、大手スーパーマーケットの1つ、ウールワース(Woolworths)管理下のショッピング・モールの敷地内を歩いていたキャスリン・ストロングさんが、不運にも片方の杖が床に落ちていた1本のフライドポテトをついてしまったことから滑って転倒し、深刻なけが(脊椎損傷)を負ってしまいました。キャスリンさんはウールワースに対し、フロアを4時間もの間、適切に掃除していなかった(1本のフライドポテトを床に放置していた)責任を問い、人身傷害に関する賠償請求裁判を行った結果、58万8,000ドルを超える賠償金を手にしました。

ウールワースには、管理敷地内を適切に清掃するシステムが設けられていたかどうかの論争が続き、このフライドポテト裁判は何とオーストラリアの裁判所の頂点である最高裁判所にまで持ち込まれました。最高裁判所の判断は、ウールワースには適切な清掃体制が整っておらず、つまり20分ごとに滑りやすい物が床に落ちていないかどうかのチェック、滑りやすい危険物の除去を行っていなかったことから、キャスリンさんの転倒事故が生じてしまった(もし20分おきにきちんと清掃していれば事故は発生しなかった)、というものでした。

更にこの裁判は、名誉ある最高裁判所の裁判官たちが「一般の人がフライドポテトを食べる時間帯はいつか」ということを真剣に討論したという点も注目されました。それによって、ウールワースが清掃作業を適切に(20分ごとに)行っていたかどうかが判断されるからです。裁判官は、人がフライトポテトを食べるのはお昼時だけではなく、おやつ、時には朝食としても(つまり、いつでも)食べていることに同意し、フライドポテトは20分以上フロアに放置されていたと判断しました。

年末年始のショッピング・シーズン、足元には十分に気を付けて買い物を楽しみましょう!


ミッチェル・クラーク
MBA法律事務所共同経営者。QUT法学部1989年卒。豪州弁護士として25年以上の経験を持つ。QLD州法律協会認定の賠償請求関連法スペシャリスト。

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