運転中の物損被害について

日豪プレス法律相談室

 

第19回

運転中の物損被害について

 

Q: 先日、低速走行中に無理な割り込みをしてきた車に衝突されました。私に事故の責任はないと思うのですが、このような場合、車の修理費用の負担はどのように決められるのでしょうか? 人身被害がない場合でも、警察に届け出るべきでしょうか?
 

A: いくら注意を払って運転していても、周りの車の無理な運転や不注意により軽い衝突事故に巻き込まれてしまうことは、誰にでも起こり得ることです。以下、被害が物損のみの軽度の衝突事故が起きた場合に取るべき行動とポイントをまとめます。
 
事故直後の対応

ケガ人が一切いない場合でも、物損被害が推定2,500ドルを超えると見込まれる場合は、まず警察を呼んでください。その場で警察を呼ぶのが困難な状況の場合、相手ドライバー、車両の詳細(名前、住所、車両登録番号、車種、型、色)、事故の起きた時間と現場の住所を控えるのを忘れないよう心がけてください。往々にして当事者間で事故責任を判別することは難しく、後々のトラブルを避けるためにもできるだけ早い段階で警察に届け出ることが重要です。

 
保険の種類

物損の被害が対象となる任意保険には、一般的に(1)第三者物損保険(ThirdParty Property Damage Insurance)、(2)総合保険(Comprehensive Insurance)の2種類があります。大まかに(1)と(2)の違いをまとめてみます。

 

(1)自分が事故を起こしてしまった場合に、自分以外の人が被る物損の被害を対象としており、自分の車にかかる修理費用は含まれません。
(2)自分が事故を起こしてしまった場合に、自分と自分以外の人に発生する物損の被害すべてが対象となります。また、相手が起こした事故に巻き込まれた際、自分が被った物損の被害も対象となります。

以上を踏まえた上で、今回の質問のように相手に事故責任があると見られる場合、自分の車の修理費用は相手の車両が加入している物損保険により負担されると考えられます。また、総合保険に加入している方であれば、通常、自身の保険を利用します。ただし、双方ともに物損保険に加入していない場合は、当事者同士で修理費用の負担や支払い方法の交渉が必要になります。円滑に取り決めが交わせられるに越したことはありませんが、当事者間で合意が得られない場合には「QCAT(Queensland Civil and Administrative Tribunal)」と呼ばれる裁決機関に判断を委ねることも可能です。

なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的なアドバイスではありませんのでご了承ください。


柿崎秀一郎
豪州弁護士。中央大学法学部卒。ボンド大学法務博士号取得。リトルズ法律事務所で民事訴訟を中心に法務を行っている。

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