過失における賠償請求

日豪プレス法律相談室

 

第21回

過失における賠償請求

 

Q: 誰かのせいで後遺症が残るほど大きなケガをしてしまった場合、賠償請求は可能ですか?
 

A: 第3者の過失により重度の障害や後遺症を負ってしまった際に手続き可能となる賠償請求に関する基本事項は、以下の通りです。
 

誰が手続きを開始できるか?

 個人および法人を含む第3者の過失により障害や後遺症を伴う体への負傷、また精神障害を負った方は賠償請求の申し立てを起こす権利を持っていますが、次の3つの要件を満たしていなければいけません。

 
(1) 個人、もしくは法人による過失があったこと
(2) 当該過失によって負った障害、後遺症が原因で損害が発生したこと
(3)今後も損害が継続すること

賠償請求の申し立ては通常、障害、後遺症を負った当人もしくはその代理人が行いますが、被害者の家族や被害者に経済的に依存していた者が申し立て可能なケースもあります。

 
請求項目と対象

被害者に障害や後遺症があるとみなされる場合、もちろんケース・バイ・ケースではありますが、既にかかった医療費やリハビリ費、失った収入の補償以外にも請求可能な項目は多くあります。自宅の改修費用、日常生活に必要とされる用具や器具の購入費用、器具のメンテナンス代と保険料、特別車両の購入費、訪問診察や訪問介護費用、薬代、カウンセリング、また法的手続きにかかる費用などです。

 
賠償請求手続きの期限

通常、過失による人身被害があった場合、被害者は過失発生日から3年以内に賠償請求の手続きを開始しなければいけません。単発的な出来事があり、過失が起こった日を断定できる場合、3年の期限を過ぎてしまうことがないよう注意が必要です。 

一方で一定期間以上、過失が継続した結果、病気や障害を発症したという場合(適正な防音がなされなかったため聴力が低下など)は、最終期限を判断するために過失が続いた期間を確定することが重要です。

 
賠償金の支払い

 いろいろと請求したところで相手に支払い能力がない時は手続き自体無意味ではないかと懸念される方もいるかと思います。請求手続きは個人や法人に対して行われますが、ほとんどの場合、実際の賠償金は相手となる個人、法人が加入している保険会社によって支払われます。したがって、相手が保険に加入しているか(支払い能力があるか)、確認が必要です。 

なお、本稿は情報提供を目的としたものですので、法的アドバイスを必要とされる方は専門家に対応を依頼することをお勧めいたします。


柿崎秀一郎
豪州弁護士。中央大学法学部卒。ボンド大学法務博士号取得。リトルズ法律事務所で民事訴訟を中心に法務を行っている。

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