遺言書の更新について

日豪プレス法律相談室

 

第27回

遺言書の更新について

 

Q: 以前、遺言書を作成したのですが、遺書を定期的に作り直した方が良いと聞きました。遺書の更新は必要ですか? また、いつ更新するべきですか?
 
A: 夫婦関係が破局を迎えてしまった、あるいは家族構成に変更があった場合、遺書を見直すことが後に非常に重要な意味を持つことがあります。近年の例では、離婚成立後に自身の資産のすべてを前妻との間にできた子どもたちに均等に分配するという内容の遺言書を作成した男性が、6カ月後にインターネットで知り合った女性と電撃結婚をしたものの結婚式の数カ月後に不慮の心疾患で亡くなったというケースがあります。この男性の遺言書は、男性が亡くなる前に再婚したため無効とされ、結果、この男性は有効な遺書がない状態(無遺言)で死亡したと判断されてしまいました。無遺言の遺産分割は政府によって規則が定められており、この男性の遺産は本人の当初の意に反して、新しく妻となった女性に大部分が分割され、残りの遺産を子どもたちが受け取るという結末を迎えてしまいました。

遺産の受取人が健康状態に異変を来たした場合も遺書の更新が重要となります。遺書作成後に遺産の受取人が病を患ったり、何かしら障害を持つような事態が起きた時は、当然、遺書作成時よりも多く遺産からの金銭的な援助が必要となります。したがって、自身の没後遺産の受取人の状況に即した遺産分割が行われるよう遺言書の内容を適時書き改めなければいけません。

また、所持している資産に変動があった場合も遺書の内容を更新する必要があります。大幅な現金資産の変動、株式不動産の購入、譲渡、分割などがあった際、遺書に明記されていない資産が分割の時に問題になる可能性があります。遺産分割が円滑に行われるにはどの資産を誰に残したいかが明確にされていないといけません。

遺書が無効とされたり、遺産の受取人の間で争いが起きてしまうと、遺産よりさまざまな費用や経費が支払われ、大切な遺産が本来の意図した目的に使用されない結果となりかねません。それだけではなく、本格的な遺産相続問題に発展した場合は残された家族、親戚や知人の間柄に遺恨を残してしまうこともありますので、ぜひとも遺書の更新は忘れないよう気を付けていただきたいと思います。

 


柿崎秀一郎
豪州弁護士。中央大学法学部卒。ボンド大学法務博士号取得。リトルズ法律事務所で民事訴訟を中心に法務を行っている。
 

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