法律相談室/賠償請求人の信用性

知ってると知らないでは大違い!

日豪プレス 法律相談室

 

第8回

賠償請求人の信用性

人身傷害に関する賠償請求を行うときに重要なことの1つは、自分の弁護士や請求相手である保険会社に、「正直に正確な情報を渡す」ということです。一貫性のない証言をしたことで、判事から信用性を疑われ、多額の賠償請求を拒否されるという結果に至った判例、“Reitano vShearer & Anor 2014] QSC 44”を以下にご紹介しましょう。

証拠・証言の“一貫性”

請求人は、2008年に車の追突事故に遭った17歳の少女で。審理は、この少女にいくらの賠金が支払われるべきか、その査定を心に進められましたが、請求人の証拠・言に一貫性がなかったことから、請人の信用性が大きな問題となりました。

少女は、将来ジャーナリストになることを目指していたと主張し、相応の賠償金を請求していました。大学に進学してジャーナリズムの学士号を取り、海外特派員になるキャリア・プランを立てていたものの、事故で負ったケガのせいでそれを仕方なく断念し、代わりに大学では心理学を専攻することになったと証言していました。しかし審理当時、少女が実際に学んでいたのは、人事系マネジメントの修士号コースでした。

最終的に分かったことは、少女が目指していたのは心理学者になることであって、大学願書にはジャーナリズムは第3希望と記載されていました。また、少女が修士号コースに入学を申し込んだ際、母親が書いた推薦状を添付していたのですが、自分が母親の会社を手伝った際の職務内容を誇張して書くよう、母親に頼んでいたというのです。

さらに少女は、事故以来そのケガのために外出が怖くなり、スポーツに参加したり友達と遊びに出掛けたりする機会が減ってしまった、と証言していました。しかし実際は事故後、少女が音楽フェスティバルに行ったり、ホテル開催のイベントに参加していたことは、ソーシャル・メディアなどからの情報によって明らかとなりました。少女は結局、こうしたイベントへの参加について医師に報告していなかったり、脚の深刻なしびれやけいれん、そのほかの症状を専門医に伝えていなかったことを認めました。

賠償金額への影響

こうしたことから少女の信用性そのものが疑われ、それが専門医の意見にも大きく影響し、結果的に少女が行っていた賠償請求の大部分の要素は拒否されました。上記判例から学ぶことは、賠償請求人の信用性は賠償金額に大きな影響を与えるということ。「請求人は終始正直でなければならない」ことを心に留めておくことが、とても重要だということです。


長谷川由貴
豪州弁護士。QLD大学法学部・文学部(犯罪学専攻)卒。MBA法律事務所で、事故に遭われた人やその家族に対し、法的サポートを提供している。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る