第18回  お金の増やし方、守り方 ──資産家への道②

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第18回 お金の増やし方、守り方

──資産家への道②


文=諸星きぼう

前回は、「資産家への道」の第1回目として、そもそも資産運用とは何か? ということを説明しました。そして、資産運用を行うにあたってのスタンスとして、お金を増やしたいのか、守りたいのかというスタンスを明確にすることが重要であることを書きました。

今回は、実際どうやってお金を増やすのかということ、そしてどうやってお金を守るのかということを書きたいと思います。

 

どうやってお金を増やす?

あなたがお金を増やしたい人ならば、どのように増やしたらいいかを知りたいでしょう。

答えは簡単であり、実行は難しい。

それは、収益性の高い資産を保有すればよいのです。「そんなことは、分かっているよ!」という声が聞こえてきそうですね。

では、まず収益性の高い資産とは、何か? ということを考えますと、投資理論的にはボラティリティー( 変動率)が高い資産ということになりますが、トレーディングをするのでなければ、単に変動率が高いだけでは収益性は高くならないので、右肩上がりで上昇する資産が最も良いでしょう。

右肩上がりの資産とは何かと考えますと、成長性が高い国の資産、株式や不動産といったものが考えられます。

2番目は、仮に資産価格自体が上昇しなくても、利回りが高い資産ということになります(累積収益率は右肩上がりになります)。

利回りが高い資産は、やはり成長性の高い国の債券や成長性は高いが信用力の落ちる会社(発行体)の社債(ハイイールド・ボンドといいます)などがこれに当たるでしょう。

残念なことに、この1番、2番に合致して、しかもボラティリティーが低い資産というものは通常、考えられません。一時的にそんな状況の資産があることはあるでしょうが。

新興国にしても成長著しい会社にしても、信用力が低いため、何か環境が悪化すれば大きく下落し、環境が良くなれば皆こぞって投資するなどして、価格が上下に大きく動く、つまりボラティリティー(変動率)が高い商品となります。

ボラティリティーが高いと、通常の投資家は下落リスクに耐えきれず、資産を放り出してしまわなければならない局面が多くなり、それは取りも直さず損失を計上することになります。

価格が下落した時に放り出してしまわなければならなくなる理由の1つは“こころ”の問題で、評価損が大きくなるに従って、もっと価格が下がって、もっと大きな損になるのではないかという恐怖に駆られ、耐えきれなくて投げてしまいます。

もう1つは、きちっとロスカット・ルールを定めて投資を行っていたとすると、ボラティリティーが大きければそれだけそのロスカット基準に抵触する確率が上昇し、そのまま保有していれば再度上昇して収益が上がったのに、ロスカットで切ってしまったということが頻繁に起きることを意味します。

このように、お金を増やしたいからといって収益性の高い資産に投資するだけでは、ボラティリティーの罠にはまり、結局収益を上げられないということが頻発するのです。

つまり、収益性とリスクのバランスをいかにうまく取って、自分にとって最適な資産ポートフォリオを構築することが重要なのです。

 

どうやってお金を守る?

現在資産が十分にある人は、お金を増やすことよりも、どうやって守ったらよいかに関心があると思います。

環境が悪い時には身をかがめて守らなければならない時がありますので、現在十分資産がなくても必要な知識です。

こういう人は、周りがお金をどんどん増やしていても焦らず、泰然と構えて、着実な投資をします。

着実な投資とは、ボラティリティーがあまり高くない資産へ投資することです。ボラティリティーがあまり高くないということは収益性も低いことを意味します。

しかし、それではインフレ率+ちょっとのα(アルファ)の収益を稼ぐことも難しいかもしれません。

また、そもそも保有資産、もしくは保有しようとしている資産のボラティリティーの正確な把握すら難しいかもしれません。

そこで、分散投資ということが重要になってきます。

投資の初歩として、分散投資という言葉は聞いたことがあると思いますが、皆勘違いされているところがあります。

それは、やたらいろいろな資産に投資してやたら資産を増やせば良いというわけではないということです。

投資理論的には、相関度が低いものを組み合わせるということになりますが、質的に異なった資産に分散することが重要です。とはいえ、経済がグローバル化してきますと、資産間の相関が大きくなり、分散が難しくなります。

まず行ってほしいことは、前回も書きましたが、ホーム・カントリー・バイアスを取り除くことです。

つまり、私たち日本人であれば、日本だけに投資している状態から脱却してほしいと思います。 日本の資産家の多くは、日本の不動産に資産が偏っていることが多く、資産が漸減していくことに気付かない人が多いです。

日本経済にもはや成長性を期待することは難しく、日本の不動産の収益性も乏しいものと考えられます。もちろん不動産の場合は個別物件次第、需給関係によっては良いこともありましょうが、日本全体で見れば収益性が高まることはあまり考えられません。

日本の不動産の収益性は高いと主張する人がたまに散見されますが、それは自金ではなく、借金をしてのレバレッジを効かせた不動産投資であり、不動産自体の収益性が高いわけではありません。

R EITなども4~5%の利回りがあるようですが、これも50%近くのレバレッジをかけており、不動産利回りは業者が利益をむさぼっており、かなり低いです。

収益性は犠牲にしても安全性は高いと考える人もいらっしゃいましょうが、その安全性とは何でしょうか? 土地だからなくならないということでしょうか?

しかし、この地震列島、そして原発がいたる所にある国で、いつその土地が使えなくなったり、上物が崩壊して多大なコストが発生するか分からない中、安全と言えるのでしょうか。

そして何よりも投資の観点から考えた時に、リスクに見合った収益があるのかということを考えてほしいと思います。

さて、資産を分散するということは、リスクをコントロールすることでもあります。

したがって、資産の種類(株式、債券、不動産、商品など)を分散することだけではなく、通貨の分散も考えなければならず、また資産の所在、不動産ならその不動産がある国になりますが、金融商品ならば預託している業者の所在も考えなければなりません。

ですから、商品カテゴリー別ポートフォリオによるリスクの把握だけでなく、通貨別ポートフォリオの把握を行って、リスク管理を行い、資産を守っていくことも考えていきましょう。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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