第23回 父から息子への手紙②

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第23回 父から息子への手紙②


文=諸星きぼう

 

(前回からの続き)

次の時代、つまり、君の時代は何かということを考えるために、過去へタイムスリップしてみよう。

そうだな、まず大河ドラマでよくやっている戦国時代から江戸時代に行ってみようか。

織田信長や豊臣秀吉が出てくる時代は、戦国時代と言って、日本国中に戦国武将がいて、それぞれの地域を治め、それぞれが縄張り争いのように戦争を繰り返していたね。それは、全国の武家を統一していた室町幕府が弱体化して、それぞれの地域の武将たちが好き勝手やってしまう時代だった。こうした混乱の中、全国を統一しようと立ち上がる武将が次々と現れた。

そして、尾張という小国、今の愛知県だけど、そこから次第に勢力を伸ばしていった織田信長が全国統一まであと1歩の所までいったけど、明智光秀の謀反(むほん)に倒れ、その後を豊臣秀吉が引き継ぎ全国を統一。この織田信長、豊臣秀吉の時代を安土・桃山時代と呼ぶ人もいるね。秀吉の死後、その政権を徳川家康が奪取し、徳川家一族の世襲(せしゅう)体制を作り、270年続く徳川時代となっていったわけだ。

これを見て分かるように、混乱を鎮め統一するには武力が必要であり、武力を持ってする「武の時代」なわけだ。

でも、いったん統一できてしまえば、武力は必要なくなる。その後必要になるのは、でき上がった体制を維持していくための仕組みだ。江戸時代なら、奉行制やら大奥といった組織だね。つまり、「官の時代」がやってくるわけだ。

こうして世の中が平穏になってくると経済も発展することになり、その後幅を利かせ始めるのが商人だね。教科書的には「士・農・工・商」という身分制度を習うかもしれないけど、江戸時代中盤からは、真の実力者は商人になってくるわけなんだ。

この流れをおさらいすると、まず混乱の時代、そして全国統一のために「武」が力を示すが、いったん平和になるとそれを維持するために官僚が必要になり「官の時代」となる。官僚によって世の中が維持される仕組みができ上がると経済が発展し、商人が力をつける「商の時代」となるんだね。

次に江戸時代末期にタイムスリップしてみよう。

江戸幕府の力が弱まってくると、徳川による各藩への統制がだんだん利かなくなってくる。そこへアメリカのペリーが黒船に乗ってやって来ると、幕府には諸外国と戦う力はなく、このままでは日本が中国のように欧米列強の属国とされてしまうのではないかという危惧が広まった。そこでまずは、攘夷運動、つまり外国を排斥して、日本を守ろうという思想が強まったのだけど、下関戦争で長州藩が外国連合軍に赤子の手をひねるようにコテンパンにやっつけられてしまい、到底今の日本は外国に勝てないと悟ったんだ。強い日本を作るためには弱体化した徳川幕府ではダメで、全く新しい組織で日本という国を改革しなければ、外国に伍して戦うのは無理ということで、諸藩が立ち上がり、討幕運動が盛んになったわけだ。

そして最後に薩長同盟、薩摩藩と長州藩の連合軍が会津藩や新撰組を中心とした幕府軍を打ち破り、明治政府を樹立した。またしても「武力」をもって全国を統一したんだね。討幕運動から幕府滅亡、明治政府樹立までが「武の時代」だね。

明治政府が成立すると、日本を諸外国の餌食にならないように強くしなければならない。だから、立憲君主制という天皇を頂点とした、官僚制を作り上げ統治していくことになる。再び、「官の時代」の到来だね。だけど、日清、日露戦争と勝利するまでは、日本は不平等条約に苦しむ臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の時代でもあり、武と官の両方がバランスよくワークさせていたと言えるよね。ようやく大正デモクラシーなんていう時代に、世の中景気が良くなって、「商の時代」に入るわけだ。第1次世界大戦は欧州が戦場になったけど、日本には戦禍がなく、欧州が戦争やっている間に世界に商圏を拡げることができ儲かったんだ。

まだ現代史を勉強していないから分からないかもしれないけど、この時代は、君のひいおじいちゃんが生きていたころだ。君のひいおじーちゃんは、商人だったんだよ。商人の時代に商人をやっていたので結構羽振りが良かったらしい。君のおばあちゃんが言っていた。でも、お父さんが子どものころに見た彼は、落ちぶれていたけどね(苦笑)。ここにも教訓がある。それは、時代が変わった時に、その前のヒーローが次の時代では通用しなくなるってこと。だから、時代の変化を見抜くことはとても大事なんだ。

昭和に話を戻すと、第1次世界大戦ごろまでは良かったんだけど、その後昭和初期に金融恐慌とデフレ経済になっちゃうんだ。難しい言葉だと思うけど、まさに今の世界、そして日本の状況に近いんだ。

デフレというのは、物の価値が下がり、お金の価値が上がってしまう現象で、そうなるとお金が一番大事になって来るから皆がものを買わない。ものが買われないと商売あがったりだよね。だから景気は良くならない。さらに景気が悪いと、会社が儲からなくなり、銀行に借りているお金を返せなくなる。銀行はお金を返してもらえなくなると、損をしてしまい、銀行自体が倒産する羽目になる。国中そんな状態で銀行がどんどんつぶれていくというようなパニック状態が金融恐慌なんだよ。

世界中、商売がうまくいかなくなると、欧米列強、アメリカ、イギリス、フランスなどは、まだまだ遅れている国々、例えば中国、インド、東南アジア諸国、南米諸国などを自分の国の配下にしようと争うようになったんだ。これを「帝国主義」というんだけど、言葉だけ覚えておこうね。日本も負けじと韓国を併合、つまり日本にしてしまい、中国東北部を支配下にしようと動いたんだ。これを悪いことをしたかのごとく言う人々がいるけど、仕方がなかったんだ。日本がそうしなければ、日本が食われてしまう時代だったんだよ。こうして、再び「武の時代」になったわけだ。

この「武の時代」は第2次世界大戦が日本の敗北で終わることにより終結し、まずはGHQの占領下、復興に向けて動き出す。1951年サンフランシスコ講和条約をもって、ようやく日本は独立国として、復興に向けて歩み出すことができたわけだ。

そして、ここからが君のおばーちゃんの時代、ヒーローである官僚を中心として、昭和30年代の高度成長期を迎えるってわけさ。

さあ、長々と歴史の話を話したから、だんだん眠くなったちゃったじゃないかな?でも、分かったことがあるよね。

「武」→「官」→「商」→「武」→…というサイクルがあったことを。このサイクルは、今話した短い日本の歴史の中だけでなく、古今東西、すべてで当てはまるサイクルなんだ。それは君が歴史を学んでいく中で、確認してくれ。
(続く)

著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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