米国人種構成変化に翻弄される世界経済・マーケット

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第28回 米国人種構成変化に翻弄される世界経済・マーケット


文=諸星きぼう

米国のテーパリング開始時期を巡る思惑で、世界経済・マーケットが翻弄され続けています。今年6月にはバーナンキFRB議長は9月にもテーパリングを開始することをほのめかし、マーケットもそれを十分織り込んでいました。しかし、開始されると思われた9月になっても開始されませんでした。

持続的に雇用が十分増大している証拠が必要ということですが、米債務上限法案を盾にとった共和党の妨害により同法案は成立せず、一時公共機関のサービスが停止されるという事態となり、その停止による米経済への影響を見極める必要が生じてしまいました。そうしたことを見越して9月のFOMCではテーパリングの開始をしなかったのですが、開始のタイミングはますます難しくなってしまいました。なぜなら、債務上限問題は来年1月まで先送りしただけで、年明けにも再び同じ問題が持ち上がるからです。

こうした議会の紛糾の原因は、上院と下院のねじれによるものであり、下院共和党の茶会(ティー・パティー)の要求が激しくなっていることによるものです。茶会は人口構成的にもマイノリティー化しつつあり、経済的にも困窮化している白人中流階層の強烈な支持を受け、強硬度が増しており、要求を通すために債務上限法案を人質に取っているという構図になっています。

これらは米国国内事情ではありますが、良くも悪くも米国経済の行方によって世界経済が左右されるため、世界が米国国内状況に注視しなければならないというわけです。つまり、極端に言えば、米国白人中流階級の没落、そしてその復活をかけた争いが世界経済を翻弄しているという、困った状況なのです。

こうした状況を受けて、6月にはドル高、米国株安、ファンダメンタルズの悪い新興国通貨・株式の急落という嵐の前触れのような相場展開となりました。しかし、9月にテーパリング開始がない段となると相場は逆回転し、ドルは売られ、金融緩和は続くということで米国株式は高値を更新する展開となり、危ぶまれていた新興国は、ひと息ついた形になりました。とはいえ、ドル下落によりユーロは上昇する羽目になり、経済回復がおぼつかないEUの経済をひっ迫しました。デフレとまではいきませんがディス・インフレ状況にあるEUにおいて、通貨ユーロの上昇はディス・インフレを助長し、輸出環境の悪化を通して景気回復を阻害する要因となりました。そのため10月8日、ECBは予想外の利下げを行いました。これも米議会のねじれがECBをして利下げに踏み切らざるを得ない状況を作ったと言えます。豪州でも事情は似ていて、国内経済が芳しくない中、高い豪ドルに業を煮やしているスティーブンスRBA総裁は『不快なほど高い豪ドル』と発言し、豪ドル高をけん制しています。

さて、今後の世界経済・マーケットですが、時期はともかくテーパリングは必ず開始される、いや開始されなければならないと言えます。リーマン・ショック後、恐慌が起きなかったのも、米FRBの未曽有の金融緩和、資金供給によるもので、非伝統的と表現されていますが、中央銀行が果たして行ってよいのかと思われるリスク資産買取政策を行ったおかげと今のところ言えます。

この中央銀行の資産膨張策の救急措置のテープを剥がしていく時、何が起きるのか誰も分からない、壮大な人類の実験と言えます。6月にこのテーパリング開始をほのめかしただけでマーケットはあれだけ荒れたのです。これから何が起きてもおかしくないと言えるでしょう。

しかし、本デケード後半までは、世界恐慌的な現象は起きないだろうと、私自身は楽観的です。その理由としては、テーパリングは経済・マーケットの状況を勘案しながら徐々に行われていくであろうし、米国の資金供給減をこれからも金融緩和を強化していくであろう日欧の中央銀行が補っていくと考えているからです。

また、アノマリー的ではありますが、投資学校で教えている「覇権国市場の10年サイクル」で考えた時に、2016〜17年くらいまでは楽観的なマーケットが続くと読めます。

ただし、20年以降の次デケード前半には、逆に必ず、大きな試練が待ち受けていると思っています。リーマン・ショック後に生じた、大きなゆがみは解消していないからです。このゆがみの解消過程には、大きな痛みを伴う嵐が吹き荒れることになるでしょう。

さて、これからの世界経済・マーケットを読み解き、それを資産運用に生かすためには、資産運用に関する体系的な知識は欠かせません。そうした中、真に必要な資産運用の知識を体系的に教える学校として「インベストメント・サロン投資学校」を一昨年に開講しました。そして、オーストラリアに在住の方に朗報です。14年3月、シドニーにおいて1週間集中特訓セミナーの開催を検討しています。1週間で投資の体系的な知識をマスターし、本デケードで資産運用をエンジョイできるようになるプログラムです。詳細が固まりましたら、また告知いたしますので、お楽しみに!

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

 

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