グレート・ローテーション

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第25回 グレート・ローテーション


文=諸星きぼう

最近、グレート・ローテーションという言葉が流行っていますね。これまで世界的に景気が良くなく、ユーロ危機をはじめとした危機が頻発する状況では、投資家はリスクを避け、安全な国債などの債券に資産の多くを留めていました。しかし、米国、日本、そして欧州という3大先進国が相次いで金融緩和を進め、そのほかの国々も相次いで追随して利下げをしてきた中で、今後は世界的に景気が回復するという流れになると考え、保有資産を債券からエクイティ(株式)に大胆に動かす、それが世界的に起きるという意味で、グレート・ローテーションという言葉が言われています。

こうした大きな潮流の中で、個人投資家も債券から株式へアセット・アロケーションの比重を移し始める時が来ました。

投資というと、株だ、不動産だと、上昇し価格が上がってしまってから皆こぞって買いあさるという愚かな行動が日本人には目立ちます。特にこの20年間、バブル崩壊後は長期の上昇相場を経験することなく、投資した時が高値ということが多く、株は儲からないものという考えになってしまっていたのではないでしょうか。

株や不動産に投資する人は日本人全体で見れば一部の人で、残りのほとんどの日本人は損するだろうからと投資もせず、せっせと金利もほとんど付かない預貯金に励んできたというのが実状でしょう。ただ、これまではデフレが続いてきたので、預貯金という現金等価物で資産を保有してきたことは結果的に正解でした。

しかし、流れが変わりました。アベノミクスという新経済政策が長期安定政権において実行され、金融緩和を徹底的に推し進め、物価上昇率2%程度を目標にしている中、インフレに適した資産運用に変えていかなければ、資産が目減りしていくことになります。インフレになるとしても、日本経済が力強く成長し、株式などエクイティが本当に上昇していくのか?と疑問に思う諸兄もいらっしゃることでしょう。これに対する私の回答は、YESでもありNOでもあります。

NOである理由は、アベノミクスの3本の矢の中で、経済成長を推進すべく成長戦略がワークしなかった場合、日本経済はインフレだけが高進し経済が成長しないスタグフレーションになる可能性があるからです。円安も今のところは経済活性化期待の起爆剤として働いておりますが、経済成長に失敗した場合、財政規律の緩んだ日本政府へのしっぺ返しとして「債券急落(=金利上昇)、悪い円安、株の反落」というトリプル安に見舞われることになります。

一方、YESである理由は、世界的金融緩和が進められている中、金余りによる金融相場で世界的に株価が上昇していますが、2014年以降米国景気を中心として世界景気が持ち直し力強く成長していくと思われますので、日本経済も日本株式もその好影響を受けると考えられるからです。

ここまで見てくると、個人投資家のアセット・ミックス(ポートフォリオ)の構成が見えてくると思います。まず、円資産を外貨資産に変え、その比重を増やします。良い円安か悪い円安になるかは分かりませんが、いずれにせよ円は安くなるのですから、円を売り外貨に換える必要があります。

2点目は、換えた外貨をエクイティに投資する必要があります。債券からエクイティへの大きな潮流の中で、かつエクイティ価格が上昇すると見込まれているのですから、外貨預金や債券といった確定利回り資産ではなく、キャピタルゲインが狙えるエクイティに資産を換えることが重要です。

では、このグレート・ローテーションに即したポートフォリオ・ミックスへ変えていった時のリスクは何でしょうか。

1つは、日本のインフレ率が上昇しない、もしくは日本の物価上昇率よりもアメリカの物価上昇率の方が高い、もしくは高くなると期待される場合です。この場合は、ドルに対して円安にならない可能性が高いのです。為替というものは、長期的には2国間のインフレ率格差で計算される相場に収れんしてくるので、米国の方が日本よりもインフレ率が高い、もしくは高くなると期待されている場合は円安どころかドルに対しては円高になるのです。ただし、中短期的にはその時々の情勢によって、どちらにも振れる局面があります。しかし、私が想定している、長期の経済状況をとらえ、それに即してアセット・ミックスを動かすよ
うな長期投資家は、長期の流れの中で為替の趨勢を見ると考えています。

2つ目は、14年以降世界景気は拡大局面となると想定していますが、米国の金融緩和縮小から停止に向かう中、ソフト・ランディングができず、ハード・ランディングとなり、世界的にリスク・オフ状況になる場合です。この場合は、エクイティの比率を高めている分、一時的にせよ大きな評価損を抱えることになります。しかし、賢明な投資家であれば、アセット・ローテーションを行うにしても1度に行ってしまっていることはないはずで、残りの余力で急落したアセットへ投資すれば、結果的にパフォーマンスはより向上することになります。

さあ、あなたもグレート・ローテーションの流れに乗って、アセット・ミックス(資産構成)を変更する時が来たのです。

こうした投資ノウハウを学習するために、インベストメント・サロン投資学校で勉強してみるのも1つの手です。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

 

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