税金について考える

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第39回 税金について考える


文=諸星きぼう

日本では今年4月1日に消費税が5%から8%に上げられ、来年10月には再度引き上げられ10%になることが規定路線となっています。円安・株高のアベノミクスの高揚の影で、4−6月期のみならず、7−9月期も日本の景気実態は芳しくありません。消費増税が立ち直ろうとしている日本経済にブレーキをかけているのが実情です。

こうした中(増税前からもそうですが)、消費税に対する批判もかなり出ていますが、その批判が的を得ていません。大抵の批判は、”増税分は社会福祉に限った使用をするという約束を守っていない”という趣旨です。しかし、そもそもお金に色はなく、最初からそんな約束は反故にされるのは分かっていたはずです。批判をするなら、税体系全般から考えるべきでしょう。

税金とは何か?を考えたときに、国・行政からしかるべきサービスを得た対価として支払うべきものと言えます。強制的に徴収され、必要としていないサービスを提供されたり、サービスなど受けていないと主張する人もいるかもしれません。しかし、ここで問題となることは、その税金をどのように徴収するのかということと、どのようなサービスを提供されるのかという2点に大別されます。

徴税には「公平性の原則」というものがあります。国民は同じサービスを得ているのだから、同じ対価を支払うべきということが原則になります。全国民が日本国会員として、会費X万円を平等に支払うことが最も公平だということは分かると思います。しかし、国家運営の経費をこのような形で徴収した場合、所得が低い人にとっては高過ぎる会費となってしまいます。そこで応分負担という考え方が生まれました。たくさん稼いでいる人にはその人相応の割合で負担してもらおうという考え方です。税率を10%として、年収500万の人は50万円を、年収5,000万円の人は500万円を負担してもらうというものです。ただ、収入に対する生活費の割合を考えると、年収500万円の人に50万円の税金は重すぎるということで、例えば生活費相当の200万円は控除して、年収500万円の人の税金は30万円にするといったことも可能です。現在の日本の税制では、基礎控除や扶養控除などがこれに当たります。

ところが、日本はこれで済みません。”金持ちからはもっと取れ”ということで年収が上がれば税率を上げるという「累進課税」を適用していて、この累進率は世界トップ・クラスです。これは、所得再分配を国家が行おうという試みであり、これが行き過ぎると社会主義国家となってしまいます。もはや「公平の原則」を逸脱していると言わざるを得ません。

所得税については、フラットな税率であるべきです。しかし、所得税には難点があります。所得の捕捉の問題です。サラリーマンであるならば所得はおおむね把握できますが、自営業者や農業従事者に関しては難しくなっています。「クロヨン」と呼ばれる、所得捕捉率が9対6対4という批判があります。これに関してはいろいろな考え方があると思いますが、サラリーマンにはさまざまな福利厚生があり、厚生年金という2階部分の年金や企業年金という3階部分の年金まで用意され、しかも厚生年金負担額の半分を企業が負担してくれるというおいしい思いもしています。一方、自営業者などは自助努力でリスクを全面的に自己負担して営業しているわけですから、個人的にはこれくらいの差があっても現状仕方ないのではないかと思います。

ただ、そもそも、こうした捕捉の問題がある中で、所得税という形という形で徴税することが公平性の観点からも望ましくないという根幹的な発想をすべきです。

では、公平に課税するにはどうしたら良いか?それはほぼ完全に補足できる消費税が望ましいということになります。消費税ならば、支出に応じて税金をあまねく納めるわけですから、もっとも公平になるのです。市場からサービスを受けた分だけ税金を支払うわけです。もちろんセーフティー・ネットは準備する必要があります。低所得者には重税になりますから、生活費という最低保障分に関しては免税にする必要があると思います。

消費税中心の税体系にすると、金持ち優遇だといった批判が多く起こりますが、これは人間の劣情の最たるものの嫉妬から来る情けない批判です。

一気に消費税だけの税制にすることは現状難しいですが、消費税を中心にして所得税はフラットな税体系にすることが望ましいのです。最初に述べた消費税反対の根拠としては、所得税改革なくしての消費増税は単なる増税であり、政府の怠慢に過ぎないと考えるからです。

次に、「どのようなサービスが提供されるのか」という問題ですが、これはサービスの量の問題です。直截的に申し上げれば、国は増税云々や年金財政の維持などの社会福祉政策に関して、まず国民に次のことを問うべきなのです。

それは、”高福祉維持・高負担”なのか、”最低限の福祉・低負担”なのかの選択です。それらの組み合わせを、どの程度の福祉でどれだけの負担になるのかということを数字で示して、選択を促すべきなのです。

経済が低成長であるということは、国の中のパイが大きくならないことを意味し、その限られたパイの中から徴税される税金のパイにも限りがあります。それを国民の総意の下、どのように有効に使うかをもっと真剣に議論して欲しいと思います。

■投資について聞いてみよう!
「投資といっても何から始めていいか分からない」「不況の時でもお金を増やす方法ってあるの?」「オーストラリアならではの賢い投資法は?」など、投資に関する素朴な疑問から具体的なテクニックまで、諸星きぼう氏に聞いてみたい質問を募集いたします。以下のアドレスまでご応募ください。応募Email: nichigopress@gmail.com 件名:諸星氏への質問

著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る