10年サイクル

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第40回 10年サイクル


文=諸星きぼう

10月終わり、米連邦準備制度理事会(FRB)は連邦公開市場委員会(FOMC)において量的金融緩和第3弾を打ち止めとしました。これと呼応したタイミングで、今度は日本銀行が異次元金融緩和の追加緩和を発表しアベノミクス第1の矢、第2幕が始まりました。欧州中央銀行(ECB)も遅かれ早かれ、量的金融緩和を開始することを余儀なくされることでしょう。

こうした状況を見て、私は1980年代とそっくりだなと感じてしまいます。80年代中盤米国は高金利状況でしたが、日本、西ドイツは最低金利水準にありました。そして、米国の制止を振り切り独ブンデス・バンクが利上げを開始した途端、あの87年のブラック・マンデーが起こりました。

金利の動きを見ると、これから米国は利上げ局面に入っていき、日欧は金融緩和を継続・拡大するという局面となり、80年代の状況とそっくりになります。そして7の付く年に暴落が起きます。

ご存知のように、97年にはアジア通貨危機が起き、98年にはロシア危機が勃発しています。07年にはサブプライム・ローン関連でベアスターンズが経営危機に陥りましたが、この時は政府に救済されました。そして、08年にあのリーマンショックが起きるのです。このように7、8の付く年にはマーケットが急変し、それまでの上昇を打ち消すような暴落が起き、その後乱高下するのです。実は7、8の付く年というだけでなく、10年スパンでマーケットには同じような動きをするサイクルが存在するのです、これはこの3〜40年のことだけではなく、過去200年間を調査して、この10年サイクルは強力にワークしていることを確認しています。このサイクルについては、インベストメント・サロン投資学校第1回の講義で詳細に説明しています。

結局、人というものは痛い目に遭っても、10年というスパンでは忘れてしまい、また同じ過ちを犯すものなのです。

本稿第37回目の連載で「バブル再来」を書きました。そして2017年が頂点になるであろうことを書き、今が最後の投資機会であることを指摘しました。これまでの米FRBがばら撒いたマネーや現在日銀がばら撒いているマネー、そしてECBがばら撒きを強化するマネーが踊り狂い、後に「中央銀行バブル」と言われるであろうバブルが発生しようとしていますから、これに乗っていかない手はないということを申し上げたのです。

さてここで、この文脈から読者からいただいたご質問に本紙面にて回答させていただきたいと思います。ご質問は次の通りです。「現在、住居を購入しようか迷っています。子供の学校周辺の家の値段がすごい勢いで上がっていて、もはやツー・ベッド・ルーム6千万はローンを組んで無理して買う金額なのかと疑問に思います。諸星さんの“バブル再来”の記事には2017年にピークになるとありますが、その後に住宅の値段は今より安くなるのでしょうか?あと3年くらいならこのままデポジットをもう少し貯めて、価格が下がった後に住宅ローンをした方がいいと思うのですが、逆にファースト・ホーム・バイヤーのメリットがある今、シドニーから遠く離れたゴスフォードやペンリスなどの物件を購入しようか迷っています。」

まずお断りしておきたいことは、私は不動産の専門家ではありませんから、あくまでも大局観に立っての回答になるということです。

10年サイクルについては、株式市場、より詳細に申し上げると、覇権国株式市場の10年サイクルについてとなりますので、覇権国以外の株式市場は覇権国の株式市場に影響を受けての動きとなります。また不動産については、サイクルが株式市場とは若干ずれます。例えば、日本のバブル崩壊も株式市場は1990年頭からですが、不動産バブルの崩壊は1992年となっていましたね。とはいえ、2017年若しくは18年頃には、それまで膨張しているであろうマネーの逆流が起き、マーケットは極端なリスク・オフ状況になっていると思われますので、不動産市況に影響を与えないわけがありません。

従いまして、これから2〜3年の短期では不動産市況にはブルですが、それ以降の中期については、ベアなマーケットになる可能性が高いと思われます。ただ、2023年頃に大底を付けた後は、40年サイクルで見た時の大相場が来ると思われますので、長期ではかなり強気で見て良いと思います。

私が述べるまでもないでしょうが、シドニーは住居不足が常態化しており、それが住宅価格上昇圧力なってきています。この状況は当面変わらないでしょうから、需給面では不動産に取っては好環境が続くのでしょう。ただ、シドニーのような国際都市は国内需給だけで考察することはできず、ほかの国際都市との比較により投資家にとっての魅力が重要になります。実際、マニラ、プノンペンなどの住宅価格の上昇は著しく、もう上がってしまったと思っていたクアラルンプールの不動産が若干割安に感じることもあります。投資家にとってのシドニーの魅力を勘案することも大事ですね。個人的には、2023年頃に起きると予想している中国不動産大暴落時に(必ずしも起きるとは限りませんが)、豪州不動産が急落した時を狙いたいと考えています。

シドニーにお住いの質問者の方の場合は、賃貸家賃との兼ね合いや税制メリット、金利負担、今後の貯蓄能力、そして現在の資産状況などを総合的に判断して、ご検討される必要があると思います。

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著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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