グローバル時代の資産評価と為替

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第41回 グローバル時代の資産評価と為替


文=諸星きぼう

新年明けまして、おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

新年を迎えるに当たって、前年の総括を行った上で新しい年について考えてみましょう。昨年は為替の変動が大きく、資産評価も大きく変動しましたね。

国内投資だけを行っているから為替は関係ないと考える方もいるかもしれませんが、自国が貿易を行っている限り為替を通じて物価が変動しますので、資産価値も変動します。したがって、自分の資産の評価も自国通貨だけでなく、グローバルな視点で評価することも重要です。

昨年、日本株式は上昇し、円は大きく値下がりしました。原稿執筆時点(2014年12月8日)で、円は対ドルで15%、実効為替レートベースで10%ちょっと下落しています。ですから、もし資産が全て円預金であったなら、それだけの割合で資産が減少していると考えるべきなのです。また、日本株式を持っていたとして、日経平均並みの円ベースでの資産増加約15%ならば、対ドルなら増減なし、実行為替レートベースならプラス5%程度だったということになります。

豪州にお住まいで、対円で豪ドルが100円台にあり資産が7%程度増えたと喜んではいられません。対ドルでは0.8928から0.829程度(2014年12月8日現在)と豪ドルは7.15%も減価していますから、円で保有しているより良かったというだけです。実効為替レートベースで4.5%減価しているというところが実態でしょう。

このように為替変動が大きい時は、自国通貨のみの評価を行っていると、資産状況の把握という意味では見誤る場合があるのです。

従いまして、このグローバル時代の資産運用においては、為替動向の把握と為替ヘッジが必須ということになります。

今年の為替の方向性は、昨年に続き、ドル高、円安、ユーロ安という大きな流れが続くと思われます。これに加えて、原油価格の下落に見られるように資源価格の下落が続く可能性もあり、豪ドルをはじめとした資源国通貨安となる可能性を考える必要があると思います。円資産、欧州資産、豪州資産を保有している場合は、通貨ベースでのヘッジをしないと当該通貨ベースで資産増加があっても、実質は増えていないということがありえます。

そこで為替ヘッジの手段として有用なものが為替マージン取引、いわゆるFX取引ということになります。取引コストが現物取引と違い異常なほど安く、レバレッジを効かせることができるので、ヘッジ資産の数分の1の証拠金でヘッジすることができるという利点があります。FX取引というと投機的な手段と思われがちですが、このようなヘッジ手段としてはとても有用な手段なのです。

今後も円安が続くと考えているなら、保有円資産分をFXで円売りすることでヘッジすることをお勧めします。

ただ、気をつけなければならないことは、一本調子で急速に円安が続いておりますので、大きな調整が近いうちに起きると思われます。これは円ショート(円売りポジションのこと)がかなり溜まっており、何かのきっかけがあればこれらが買い戻される可能性があるからです。これからヘッジをするのであれば、こうした調整が起き円高に振り戻された時に円売りができたら良いですね。

また、円預金などのキャッシュで資産を保有しているならば、海外資産に変えるということでヘッジすることができます。国内において安定的に収入があるならば、ほとんどの資産を海外資産へ変えておいて問題ないと思います。

資源価格の下落が続いた場合、豪ドルが60セント台への下落の可能性もあります。ヘッジを考えておく必要はあるでしょう。

 

世界基準での資産評価方法

最後に、グローバル時代の資産評価方法を拙著『お金は週末に殖やしなさい』から抜粋します。数値は、現状に合わせて変更してあります。

「世界基準でのパフォーマンスをどう計測するかですが、まず、あなたの資産を円ベースに直して、それに円の実効為替レートを掛けた値が評価スタート時点のそれと比べてどう増減したかで計測します。

例えば、当初のあなたの資産が1000万円だとして、その時の円の実効為替レートとして日経通貨インデックスを利用するとしてその値が100だったとします。1年後、あなたの資産評価額が円に直して1200万円になったとします。通常は、+20%と評価するでしょう。しかし、その時の日経通貨インデックスが80になっていたとします。当初時点の評価値は1000万円×100で100,000でした。1年後は1200万円×80で96,000です。100,000が96,000になったのですから、あなたの資産は実質で年率4%減少したということになるのです。

何が起きたかというと、日経通貨インデックスが100から80になったということは、円が20%減価したということで、円ベースで20%増価していても、円安によって実質的にあなたの資産は世界的に4%減少したということなのです。もう少し分かりやすくいうと、あなたの資産は1200万円に増えたように見えますが、世界的に考えた購買力が4%減ったことを意味するのです」(以上、抜粋)

さて、年頭に当たって、昨年のパフォーマンスを正しく評価して、今年の目標を立て、その時に、為替を意識したポートフォリオ運営を考えてみましょう。

【用語説明】
・実行為替レート:実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標です。具体的には、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出します。(出典:日本銀行)

著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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