あなたの預貯金は、もはや全て失われている!!

夢をかなえる豊かな明日への投資術

第43回 あなたの預貯金は、もはや全て失われている!!


文=諸星きぼう

2014年4〜6月期、7〜9月期と2期連続のマイナス成長、つまりリセッションに陥っていた日本経済を見て、アベノミクスは失敗だと論じる評論家が少なからずいます。確かに、現時点で成功しているとは言い難いことも事実ではあります。

そこで、改めてアベノミクスについて考えてみましょう。

まず、アベノミクスの目的ですが、ひと言で表すなら「デフレからの脱却と低成長から脱却」ということになります。

90年代のバブル崩壊以来、20数年、低成長とデフレ化に苦しみ、円高を招来。これにより国民生活が豊かになることはなく、将来不安を抱えた暮らしを国民に強いてきました。その脱却のためと称して、財政資金を無駄な公共工事に大量にばら撒き、既得権益者を利するだけの政治を行い、財政赤字は取り返しのつかないレベルまで肥大化させてしまいました。それが社会保障、年金への不信を招き、これがさらに消費を抑制し、内需を中心とした経済成長への転換を不可能としてきました。

もう少し早く手を打てていれば、もっと少ないコストで、つまり国民を犠牲にしない方法での成長路線への復帰も可能だったかもしれませんが、政治家たちが国家経済を最優先せずにきた結果、このまま座して死を待つか、それとも打って出て起死回生を図るか、という選択肢が突きつけられた状況だったのです。

そこに登場したのが、アベノミクス。第1の矢である「大胆な金融政策」で、金融緩和により円高から円安への誘導と株高の演出し、インフレを醸成することを画策しています。この第1の矢については、デフレからの脱却というゴールに向けての中間目標である円安・株高には成功しています。

しかし、第2、3の矢である「機動的な財政政策」および「成長戦略」がまだあまり機能していない状況で、インフレ率の上昇および経済状況の改善には至っていません。財政政策については、無駄なばら撒きは止めてほしいですから、消費増税によって萎縮した内需を補填するにとどめてもらいたいものです。成長戦略は一朝一夕で上手くいくものでもありませんが、最大の政策は「大胆な規制緩和」であり、これは安倍首相には遂行できないでしょう。目先の経済運営を上手くいっているようにするには、大企業に滞留している内部留保を投資、賃金に流れるようにする仕組みを作ることだと私は考えます。

ただ、いずれにしてもアベノミクスは失敗すると予測しています。これから3年間は世界経済拡大に乗り、日本経済もそれなりの成長を果たす可能性はありますが、構造的な転換、つまり既得権益者から権益を奪う大胆な規制緩和をしない限り、それ以上の進展は望めないからです。

こんなことは優秀な黒田日銀総裁や安倍首相も分かっていると思います。では、彼らは何を企図しているのでしょうか?

それは、インフレを起こすことです。過去、財政赤字が200パーセントを超えるような状況に陥った際、それを救ったのが、意図していたかいないかにかかわらず、結果として起きてきたインフレなのです。

もちろん最初からそれだけを目的としているわけではなく、アベノミクスによって日本再生を果たせれば結構なことです。しかし、そうならなかったとしても、絶対に国家を破綻させない危機管理体制は必要です。

現在、個人金融資産が1,600兆円超に対して、日本国の借金が1,300兆円弱。国民個人の金融資産で考えるならば、おそらくちょうど均衡している状況と言えます。あなたが保有していると思っている預貯金や保険などは、ないに等しいのです。なぜなら、あなたが預けている銀行や保険会社はあなたから預かった資金で国債を買っていて、日本国全体として資産・負債が均衡を保っているのです。

ですから、あなたが自分のお金を引き出そうとしても、引き出すことができないという状況なのです。もちろん、あなた1人だけがあなたの預金を引き出すことはできます。しかし、国民全員が引き出そうとしたら、引き出すことはほぼ不可能なのです。こういった状況であることを認識しなければなりません。アベノミクス遂行の問題点とは、円安になると言っておきながら、円を外貨に換えることを阻止していることなのです!

財務省は、あの手この手を使って、外貨投資による海外投資を阻止しようとしています。銀行で海外送金をしようとすれば、資金使途やら送金先との関係やらしつこく質問され、場合によっては拒否されます。90年代後半に、日本は資本完全自由化に移行したにも関わらずです!!

さらに、外貨預金には為替リスクがあります、と必ず説明されます。それなら本来、円預金しか持っていないことの為替リスクも説明しなければいけないはずです。

昨年1月から政府は、海外資産5千万円以上保有している場合には、税務署への申告を義務付けました。これで税金を取られるわけではありませんが、心理的な圧迫を加えると同時に、いざ一斉課税をするときのデータになります。

つまり、アベノミクスは成功すれば国民のためとなり、裏の意図が成功すれば、つまりインフレにより財政赤字問題を解決させた場合、それは国民の犠牲の下に成立します。

私はアベノミクスに反対しているわけではありません。むしろ賛成です。このまま茹で蛙のごとく座して死ぬよりも、打って出て失敗し、全てを失ってゼロになった方が良いからです。日本再生には、ガラガラポンしかないと考えています。一度死んで、不死鳥のように生き返るのです。

その際、これまで書いてきたような政府の意図を理解し、とうに海外へ避難し資産を守ってきた人たちが日本再生に尽力することを期待しています。

著者プロフィル もろぼしきぼう

投資教育家。(社)証券アナリスト協会検定会員。1988年東京大学経済学部卒。メガバンク、外資系銀行時代は東京、ロンドンでデリバティブ・トレーディングを実践。独立後、日本人の金融リテラシー向上のため投資家教育を行っている。現在、賢明な投資家の集まりであるインベストメント・サロン(http://www.ideal-japan.com/)を運営、投資アドバイスを行っている。著書に『お金は週末に殖やしなさい』(2010/10)、『大恐慌でもあなたの資産を3倍にする投資術』2009/3)。オフィシャル・サイト: www.ideal-japan.com ブログ「自由人ダンとオーストラリア」: ameblo.jp/daichi-megumi ブログ「諸星きぼうの豊かに生きるための思考法」: daichi-megumi.blogspot.com Facebook: www.facebook.com/#!/kibo.moroboshi

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