インカムとグロース

オーストラリアの金融事情

オーストラリアの金融事情

宇都 重信
Uto Insurance & Financial Services P/C ACN No. 051 973 105

インカムとグロース

現在オーストラリアの銀行の1年定期の利息は、年約6%前後。一方、オーストラリアの株式S&P/ASX300(上場株トップ300社)の過去10年の平均配当は4.1%でした。

インカムを狙うあなたは、投資先としてどちらを選びますか?当然6%の方が高いし、元金も約束されているので定期の方を選ぶ人が多いでしょう。

では、過去10年の経過を見てみましょう。10年前に10万ドルを両者に預けた場合の比較です。

定期はその年の公定レートに基づき約4~8%の利息を出してきました。年間4,000ドル~8,000ドルということになります。ただし元金はどうかというと、今でも10万ドルのそのままです。そして残念ながら、インフレのため当時の10万ドルの価値はなくなってきています。

一方、株式投資の過去10年では、2010年6月〆の記録によると、トータル年平均リターンは8.2%でした。その内訳は、元金の値上がり率2.1%(2008~09年の世界経済危機の後でかなり下がりましたが)、インカム4.1%、これにフランキング・クレジット(株式配当で既に会社が法人税を支払った後の配当)の1.4%です。具体的には元金の10万ドルは25万ドルに(2007年には38万ドル近くまで上がりましたが)、そしてインカムは1万ドルを越えています。

ここで言えることは、単に利息だけの数字で投資先は決められないということです。これはASX300の中の株式でも同様です。

テルストラ(TLS)株と鉱山資源のBHP社の株を例にとって比較してみましょう。

•TLS株は1997年に3.55ドルで発行され、2年後には9.20ドルまで上がった後に落ち始め、現在の株価は2.95ドル前後。配当率は9.6%と高いです。

•BHP社は1981年1.22ドルで発行、2008年5月には50ドルまで上がった後、同年11月に世界経済危機の影響で20ドルまで落ち、現在は約47ドル。過去も現在の配当率も年約2%です。

年間配当の額で比べると、両者の株を10年前に1万ドルずつ買ったとすると、現在ではTLSが350ドル、BHPは1,300ドルということになります。

これは、BHP社の株価(=元金)の大きな値上がりによるもので、元金の値上がり=キャピタル・グロースは将来、インカムに大きく影響してきます。ただしグロースがあるものにはキャピタル・ロスもあり得ます。そのため一般的には、短期の運用(家を買う資金作りなど)は元金が保障されている定期が適切な運用先で、スーパーアニュエーション(老後の資金作りなど)の運用先は、短期のリスクをとってでもグロース先に運用した方が賢明といえます。

※この記事は情報提供のみを目的としています。また過去の配当は将来約束されるものではありません。

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