【日本の不動産】日本で買ってはいけない不動産 ②空室リスク編

そこが知りたい!日本の不動産

第6回 日本で買ってはいけない不動産
②空室リスク編

日本での賃貸経営は、空室との闘いといえます。2013年時点の空室率は全住宅で13.5パーセント、賃貸住宅に限れば18.9パーセントと、年々上昇を続けています。豪州の全国平均「賃貸空室率2パーセント以下」とは大きな差があります。

なぜ日本は空室が多いのでしょうか。その理由は「建て過ぎ」です。日本の総人口は減っていますが、世帯数は増えており、マクロで見た賃貸需要は減ってはいません。しかし、それ以上に建ててしまうのが問題です。特に酷いのが、「土地活用や相続税対策と称し、賃貸需要のない場所にアパートを建ててしまう」ケース。私の地元・千葉県では、築浅の木造賃貸アパートが駅や主要道路から遠いネギ畑の中のような辺鄙な場所にたくさん建っており、一体誰が借りるのか不思議です。

不動産や経済に明るくない年配の地主に、新築アパート建築を勧める業者が毎年5万戸以上を供給しているのが日本の実態。日本の税法上、更地のままより建てた方が固定資産税が安くなるのも大いに問題ですね。賃貸需要のない場所にアパートを建てても結局入居者がいないので、空室のままにするか、家賃を極限まで下げて無理に埋めるしかありません。これは「絶対に買ってはいけないアパート」といえます。

12年に「宇都宮日本刀事件」という出来事がありました。東京都在住で、栃木県宇都宮市にアパートを10戸買った物件オーナーが、自身の物件に携わる不動産管理会社に激昂。社長以下3人を日本刀で切り付けて負傷させた事件です。当時、このオーナーの物件は10戸中8戸が空室だったそうです。

問題となった物件の所在地は、宇都宮市街から車で30分のポツンと孤立した印象の街。工業団地や大学が一応ありますが、賃貸需要をはるかに超える数のアパートが林立する場所柄です。オーナーは入居付けに苦戦を強いられ、修繕費や税金でお金を失い続けたのだと思います。

アパート経営が投資として成り立つ場所かどうかの市場調査や分析を一切せず、管理会社に丸投げするオーナーも依然として多いです。また、賃貸経営が成り立たないことを知りながら、何も知らない地主や資産家にアパートを建てさせる会社も多い。日本の不動産業界のそういった構造を、あらかじめ知った上で参入すべきでしょう。

ちなみに私は、日本でアパートを2棟建ててますが、いずれも鉄道駅から徒歩2分以内の場所。例え郊外にアパートが過剰供給されても、駅近の立地なら入居が付きますし、価格競争に巻き込まれる心配もありません。そのお陰で、常に満室に近い運営で収支はプラスになっています。


鈴木学◎グローバルに展開する不動産投資家。日豪を中心に世界7カ国で不動産に投資。投資案件開拓やセミナー講演で毎月のように世界各国へ出張。2000~05年シドニーに在住。現在は豪州国藉の妻、2人の子どもと東京在住 
Web: asia-pacific.tv

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