【日本の不動産】日本の中古物件はなぜ安いのか?

オーストラリアにいても気になる「今」の日本の不動産事情を、不動産投資のプロが分かりやすく解説!

第3回 日本の中古物件はなぜ安いのか?

以前オーストラリアに移住して家探しをしていた時に一番驚いたことは、「築年数の記載のない不動産広告がある!」ということでした。この国では、築70年や100年超の中古物件など当たり前。私がシドニー近郊のサマー・ヒルで買ったユニットは、なんと築119年!オージーは不動産購入にあたり築年数など気にしない。年数が経っても不動産価値が保たれるマーケットだから、というのがその理由です。

ところが日本では状況が全く違います。新築物件ほど高い値がつく一方で、中古物件は価値が急落、銀行評価が出ないので良い値段で売れない。特に「木造建築物は築22年で価値がゼロになる」という、欧米諸国では信じがたい新築優遇システムが日本には存在します。

 

減価償却ルール

日本の税法から考えると、木造建物の耐用年数が22年と定められて減価償却するルール、これ自体はさほどおかしな話ではないのです。しかし英米圏と決定的に違うのは、日本の多くの金融機関による資産価値評価が、上記の減価償却ルールに追随してしまっていること。減価償却が終わった建物は担保価値ゼロとみなされ、融資が付かない。したがって、築年数の古い物件の価値が新築や築浅と比べて著しく落ちてしまうのです。

これは戦後の高度経済成長期、住宅の質も粗悪で、なおかつ「スクラップ&ビルド」を繰り返していた時代の名残りです。しかし今の日本の木造住宅はクオリティーが大いに向上し、22年どころか、適切にメンテナンスすれば60年も100年も快適に住めます。また、新築優遇ゆえに不動産各社はどんどん家を建てる、その一方で人口は減るので、既に800万戸超の空き家が生まれています。さすがに今の時代に合わないので、国土交通省は中古住宅の資産評価ルールの見直しを進めていますが、民間各社が追随するのはまだ時間がかかるでしょう。

 

日本での運用方法

投資家視点で言えば、日本では「中古の収益物件を安く買って、まあまあ良い賃料で貸してキャッシュフローを得る」のが王道だと思います。オーストラリアで一般的な「新築を買って、値上がった数年後に転売」の手法は、日本では難しいのが現状です。

とはいえ、最近ではこうした状況に変化も見られます。人々が昔ほど新築にこだわらず、きれいにリフォームした中古物件を買うようになってきたのです。そのため都市部の好立地エリアでは、築年数が経っても売買価格が下がらない物件も増えてきています。


鈴木学◎グローバルに展開する不動産投資家。日豪を中心に世界7カ国で不動産に投資。投資案件開拓やセミナー講演で毎月のように世界各国へ出張。2000~05年シドニーに在住。現在は豪州国藉の妻、2人の子どもと東京在住 
Web: asia-pacific.tv

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