損害賠償「隣家の庭木を伐採するのは違法ですか?」

何でも相談

Q 4軒フラットに住んで3年になります。オーナー同士でいつも話題に上がるのが隣の家の木。枝が覆いかぶさっているばかりか、張り出した木の根が私たちの駐車場のドライブウェイ(コンクリート)をゆがませています。私たちにはボディー・コーポレートはなく、何かあれば4軒で協議しています。修理費がかさむだけに、「隣が悪い、隣に全て修理させろ」と皆言うばかりで先に話が進みません。
(33歳会社員=女性)

A 隣の家の庭木が覆いかぶさっている場合において、迷惑を被っている方の住人が境界線からはみ出している部分を伐採すること自体には違法性はありません。隣人(木を植えている方)の許可さえ必要とされません。

ただしその伐採行為に費用がかかる場合、その隣人にコスト請求をすることはできません。そればかりか、その木、あるいはその他の木、隣人の家屋や土地などに何らかのダメージが生じた場合には、伐採行為を行った方に責任が追求されることになります。従ってそうした自己解決手段を講じる場合には、事前に庭師などからのアドバイスを受ける方が良いでしょう。もちろん不要なトラブルを避けるために隣人に伐採の意思を申し出るべきでしょう。

また、木の種類によっては管轄のカウンシルによって保護対象に指定されていることも考えられ、指定されている木を伐採することは違法行為となりますので、カウンシルに事前に問い合わせることも必要となるでしょう。

迷惑を根拠に隣人を訴えることは理論的には可能ですが、単刀直入に申し上げると、特に小規模の問題の場合、費用対効果についての疑問もさることながら、隣人との恒久的なトラブルの原因となることは事前に予測しておくべきでしょう。ただし、ご質問者の場合はビルの価値自体を下げるまでに大きな問題であるようですので、損害賠償請求訴訟をオーナー全員で考慮すべき問題である可能性が高いと思われます。

隣人側に植わっている木によるけがや物的損害に対する訴えはThe Land and Environmental Courtで行うことになります。ただし、特筆すべきこととしては、裁判所がそうした訴えを認めるのは、訴えを起こす前に当事者間が和解を試みるための妥当な努力を行った事実がある場合に限られるということです。

また、法的手段を講じることはとかく多くの時間と費用を要するもので、前述のとおり、費用対効果が期待できる被害金額であるか否かの事前判断は非常に重要となります。また隣人が相手となる訴訟手続きは勝敗にかかわらず後味の悪いものとなるでしょう。従って隣人とのトラブルについては対話による解決が一番の策であると言わざるを得ません。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


日豪プレス何でも相談

 

山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る