不仲になった娘の子(孫)にもっと会いたい…。法的措置は可能?

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Q シドニー在住16年の日本人夫婦です。娘がオーストラリア人と結婚し、孫は現在5歳です。娘との意見の食い違いが元々多く、口論が多かったのですが、子どもが生まれてから更に疎遠になり、過去2年ほど孫と会わせてもらっていません。せっかく娘夫婦と同じ国に居ますし、私たちもいつまで元気でいられるか分かりません。娘に対して法的措置を採ることはできるのでしょうか。
(65歳主婦=女性)

A Parenting Orders(子の養育に関する命令)への家族法(The Family Law Act 1975)の規定は2006年に改正を受け、子の祖父母との関わりの重要性が以前より認識されるものとなっています。その改正法令、「The  Family Law Amendment (Share Parental Responsibility) Act 2006」(以下、「同法」)の第65C条では、Parenting Ordersの申し立てを行うことができるのは、(a)子の親、(b)子自身、(ba)祖父母、(c)子の健全な発育に重要な関わりを持つ人物(誰にでもなり得る)、と規定しています。さらに、同法60B(2)(b)条では「子は両親、そしてその他の重要な影響を与える人物(例えば祖父母やその他親類)と頻繁に接する権利を持つ」と規定されています。

この通り、現行の家族法は「子の健全な発育には祖父母の役割や存在も重要である」、とした認識を社会に植え付けることを意図したものとなっており、子が自身の家族背景や人種背景、そしてその民族的文化を知ることは子の権利であることも、改めて認めるものとなっています。

ただし、Parenting Ordersの申し立てにおいて、子が誰と、そしてどのような頻度で接触するかについての決定を裁判所が下す際、それが“The Child’s Best Interests”、つまり「子自身にとっての最善策」であるかどうかが常に最終的な決定要素となることは変わりありません。つまり、今件に当てはめると、お孫さんがご質問者と接するようになることで、その子自身(祖父母ではなく)の受けるメリットが増えるかどうかに焦点が当てられるというわけです。娘さんとの関係と、子の現在の家庭環境や家族関係を鑑みた上で、お孫さんにとってこの先、祖父母と接することが現在の平穏を乱したり、子と両親の関係が悪化につながるかもしれない場合には、ご質問者の申し立ては認められない可能性があると考えます。

これは、2006年改正後のいくつかの判例で示された裁判所の姿勢であり、08年のある判例では、子の現在の生活と後の人生において、祖父母の存在が大変重要であるという事実は認めながらも、「子が祖父母と接することで、その子の親が極度の精神的苦痛を受ける事実は、その子の親との関係を阻害することであり、結果的にその子の利益が最大化されることにはならない」との見解を示しました。この見解はつまり、子がその親から妥当に養育を施されている限り、祖父母は親より優位に立つことはないということを示しています。

ご質問者への回答としては、弁護士に相談しアドバイスを得ることをお勧めします。過去と現在の状況を具体的に示した上で、求める命令内容が認められ得るものであるかについて、十分に協議した上で措置を講じる必要があるでしょう。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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