遺言書を作成したら、その後の管理や注意点は?

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Q 最近遺言書を作成しました。ニュース・エージェントで購入した“Will Kit”というものを使用して自分で作成したのですが、作成後は放置しておいて良いのでしょうか。保管方法なども含めて、今後注意すべき点を教えてください。
(43歳会社員=男性)

A まず、過去に作成された遺言が手元にあれば、それを破棄してください。新たに作成された遺言は過去の内容全てを無効にする効果を持ちます。複数の遺言が存在することから来る混乱を未然に防ぐため、新たに遺言を作成する度に古い遺言は破棄することが得策です。

また、遺言作成後に加筆修正などは絶対に行わないこと。加筆修正が行われた時点でその遺言は無効となってしまいます。

次に、作成された遺言のコピー(フォトコピー)を遺言執行人(執行人を複数任命している場合それぞれの執行人)に渡します。コピーに遺言作成者が署名する必要はありません。法律上正式な遺言は原本の1通のみとされますので、本人の署名がある遺言が複数存在すると、原本が正式な遺言として見なされなくなる可能性が生じるためです。また、コピーを執行人に渡す際には、それぞれの執行人に遺言の原本がどこに保管されているかも必ず指示してください。

遺言の保管場所は金庫や、耐火設備の施された場所などが良いでしょう。また、実際に執行の必要が生じた際に執行人が容易に遺言原本を入手できる場所や設備であるようにしておくことも重要です。

執行人の業務を容易にするために、財産目録を作成し執行人に渡しておくのも良い方法です。目録には不動産や保険証書内容、金融機関やスーパーアニュエーション・ファンドの詳細、有価証券や自動車登録証書内容、貴金属やその他備品の内容と保管場所など、個人によってさまざまなものが記載されます。目録作成の際には日付を入れることが大切です。日付によって実際の遺言執行の際に執行人が過去のいつの時点で存在した資産であるかを知ることができ、資産の執行時点での存在有無の調査、またその価値の調査が比較的容易にできるようになります。同様の理由から、財産目録と負債リストも内容と詳細を明らかにし、日付を入れて執行人に同時に渡しておくべきでしょう。これらの目録は作成者本人ができるだけ頻繁に見直し、その都度執行人に渡すことをお勧めします。

また目録と同じように作成をしておくと役立つものは自分の没後、連絡を希望する人や所属団体などのリストがあります。こちらもできるだけアップデートしてください。

作成された遺言は結婚、離婚、別離、子どもの誕生など人生の節目で見直し、その時点での自分の意思を反映する内容であるかを見直すことが重要です。特に離婚は、婚姻期間中に作成された遺言の配偶者に関わる規定が全て無効になるので、特に注意が必要です。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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