警察沙汰になり裁判所へ、弁護士を雇わずにすむ手段は?

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Q 友人が警察沙汰になり裁判所に行くことが決まりました。英語の能力面では問題無い人ですが、費用を掛けたくないため、弁護士を雇わずに自分で処理することは可能なのでしょうか。
(24歳学生=女性)

A どのような類の犯罪でしょうか。また、事件の背景や、その方の社会的立場や犯罪歴などによっても状況は変わってきます。

確かに裁判所に出廷する際に、必ずしも弁護士を依頼しなければならないという取り決めはありませんが、とかく法律問題は想像以上に複雑であることが多いです。そのため、自身で処理しても安全な案件か否かの判断をする目的だけであったとしても、専門家のアドバイスを受けた方が良いでしょう。無料の法律相談を提供している機関を利用してはいかがでしょうか。

まず最寄りのCommunity Legal Centre(CLC/地域住民のための無料法律相談所)に相談するのがお勧めです。状況によりますが、CLCが直接案件を請け負うことも考えられますし、そうでない場合には、低コストで案件依頼を受ける弁護士が所属する、民間の法律事務所を紹介してくれることもあります。

また、その方の経済状況と案件の性質によっては、Legal Aid(貧困者救済用の公営法律事務所)のサービスが受けられることも考えられ、そうした判断もCLCが行ってくれるでしょう。その他に治安判事裁判所で、議会裁判所や当番弁護士からアドバイスを受けることも1度考えてみましょう。

自分で処理可能な案件か否かの判断のために考慮すべき要素としては、まずその有罪が確定した場合の結末(刑罰)です。もしも服役、多額の罰金、強制送還などを含めた国外退去などの可能性を秘めている場合には、弁護士を依頼する必要性はかなり高まります。場合によっては、裁判所の方から弁護士依頼を強制されることもあります。

また、どこの裁判所での審理になるのかも重要な要素です。治安判事裁判所や裁定委員会での審理は制度が比較的簡素化されていますので、自己処理もある程度は可能ですが、地方裁判所、あるいは最高裁判所などでの審理となると、制度や扱われる案件の性質の両方が大変複雑になりますので自己解決は現実的ではありません。

次に、ご質問者の場合には当てはまらないことですが、相手側が弁護士を依頼しているか否かについても重要な要素となります。当然、弁護士を依頼していない当事者側が、不利になることは言うまでもありません。

更に、審理のためにどの程度の準備が必要になるのかも十分考察しましょう。関連分野の法律について十分な知識を得る必要があります。特に証人や証拠提出が必要な場合の準備は不可欠です。審問日に、証人は全て出廷を余儀なくされるので、重要な証人が出廷を拒否しているような場合には、裁判所からの召喚令状を取得する必要性も生じます。こうした令状は期日より十分余裕を持って取得し、当該人物に送達される必要があります。

このような事前の考察を十分に行わないまま裁判所に赴くのは大変無謀な行為です。判事の心象を悪くさせることにもつながりかねません。万が一、予想以上の時間を要する場合には、審理の期日を延期するべきでしょう。そういった場合には、出廷が要請されている日に裁判所に赴き、考察のための時間が必要である旨を説明して期日延長を願い出ます。期間としては通常2週間程度が妥当であると言えます。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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