レストラン経営にあたって不動産のリース契約。何をどう準備すれば?

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Q 新たに日本食レストランを始めるに当たり、レストランの場所を探しています。最近やっと良い場所が見つかりましたが、どのようにリース契約が成立するのか、またそれに当たり何を準備したら良いのかよく分かりません。具体的な流れを教えてください。
(43歳会社員=男性)

A 商業リースは大きく分けて、オフィス・スペースなどを借りる「コマーシャル・リース」と、店舗やレストラン・スペースを借りる「リテイル・リース」の2種類があります。今回は、リテイル・リースについて解説します。

リテイル・リースとは、オーナーとテナントの間で交わされる賃貸契約書であり、各州のRetail Leases Actにその規定が記載されています。NSW州では3~5年のリース契約が一般的ですが、契約を更に延長することができる権利が含まれることもあります。また3年以上のリース契約は登記所に登記され、契約の法的効力が保証されることになります。

賃貸契約の流れとしては、まずHeads of Agreementというリースの内容を簡潔にまとめた書類がオーナー側から提示されます。これは非公式な書類ですが、リース契約書の内容を左右する大事な書類です。テナント側がHeads of Agreementを受諾すると、次にオーナー側はLessor’s Disclosure Statementという賃貸契約の骨子をまとめた書類(リースの開始日・終了日、賃貸料、賃貸料の見直し、賃貸料以外の経費、契約が中途解約された場合のペナルティーなど)をリースの始まる最低7日前までにテナント側に提出します。テナント側はこれがHeads of Agreementの内容と相違がないかどうかを確認し、もし改訂したい部分や補足する点があれば、この時点でオーナー側と交渉します。

締結するリースが合意内容と合致していることを確認したら、今度はテナント側がLessee’s Disclosure Statementをオーナー側に提出します。この書類はオーナー側のDisclosure Statementを受領してから7日以内に提出することになっています。オーナー側の弁護士はこの2種類のDisclosure Statementを基に、リースの契約書を作成し、テナント側はリースの書類を最終精査します。最後にオーナーとテナントが書類に署名をして、リース契約が成立となります。

テナント側がリース契約をする際に準備する物としては、一般的に3つ挙げられます。まず1つ目は敷金です。これはテナントのリース条項の不履行を担保するためリース期間中ある一定の金額をオーナー側に預託するもので、金額は一般に3~6カ月の賃料が用いられます。2つ目は一般損害賠償責任保険で、リース期間がカバーされている付保証明の提出が必要となります。そして3つ目はリース契約書の登記費用です。また、一般的にリース契約書の作成費用はオーナー側が負担しますが、もしテナント側が自分のDisclosure Statementを提出した後で更にリースの内容の変更を希望する場合は、テナント側がその修正費用を負担する場合もあります。

リース契約は千差万別で、専門的な表現が多々使われており、書類の精査とオーナー側の弁護士との交渉はリース契約の中で一番難しい過程かもしれません。そのため法律の専門家のアドバイスを得ることを強くお勧めします。またリースに署名をする際は、内容を十分に理解した上で、公的書類に署名をするという旨を心得ておきましょう。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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