仕事で必要な運転免許証、飲酒による免停期間を短縮できますか?

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Q 先日、道路脇検査を受け飲酒運転で逮捕されてしまい、現在免許を取り上げられています。仕事上どうしても運転する必要があり、どうするべきか困っています。裁判所で免許停止期間を短縮、あるいは免除してもらえることがあると知人から聞いたのですが本当ですか。
(29歳会社員=男性)

A 現在警察が主に使用している酒気検査方法は、無差別に道路脇などで行っている酒気検知機を使用しての検査(Random Breath Testing、以下RBT)です。数値が法定基準を超えていた場合、その場で逮捕され警察署に連行されます。警察署では再度血液検査が行われ、血中アルコール濃度の正確な数値が法定基準を超えていることが再確認されると、通常免許証はその場で没収され、後日、刑法裁判所で裁きを受けることになります。警察が規定のプロセスを踏んでいる限り、この数値は絶対的な証拠とされ現実的には有罪を認めざるを得ないことになります。

NSW州における2017年現在の飲酒運転の刑罰は、(初犯に限り)血中アルコール濃度①Low Range(0.05~0.079)、②Middle Range(0.08~0.149)、③High Range(0.15+)により以下の通り分かれます。

血中アルコール濃度 最高罰則金 通常免許停止期間 最低免許停止期間 最長服役期間
Low Range (0.05-0.079) $1,100 6ヶ月 3ヶ月 該当なし
Middle Range (0.08-0.149) $2,200 12ヶ月 6ヶ月 9ヶ月
High Range (0.15+) $3,300 3年 12ヶ月 18ヶ月

上記の通り、どのような刑罰を受けるかは、血中アルコール濃度の数値と初犯か否かで異なります。これら刑罰は個々の状況や生活事情、事件背景によっても異なります。ご質問者の認識の通り、特殊な事情がある場合に限り特例的に免許停止期間が短縮されたり、免除される場合もあります。

「特殊な事情」というのは、運転ができなくなれば生活維持の危機に直面するというような状況です。例えば家族に重病人がいて毎日病院に通うために運転をしなくてはいけない場合や、タクシーなどの運転手が仕事である場合はその例でしょう。ご質問者の状況も、ご本人が業務を遂行できないことがご本人の雇用継続危機につながる、あるいは会社としてのビジネスに大きく影響を及ぼしたりする状況が証明できれば情状酌量の余地はあるかもしれません。ただし、最近の傾向として飲酒運転に対する裁判所の態度はかなり厳しく、例え初犯でも刑の軽減を図るのはなかなか難しいのが現状です。そして裁判所は常に違反を犯した本人の行為が一般社会に及ぼし得る悪影響と、本人の置かれている状況とのバランスを考慮しつつ妥当な罰則を与えます。つまり運転ができなければ生活に支障や不便をきたすという事実は、ある意味では罪に対する罰則の一部であると捉えられることもあり、仕事上で運転できなくなることが必ずしも刑の軽減につながるわけではありません。

加えて念頭に置かなければならないことは、飲酒運転をして有罪判決を受けた場合、その犯歴は将来のビザ申請や海外渡航、就職に影響をもたらすこともあるということです。更に、RBTを拒否すること自体も刑罰(6カ月の自動免許停止と罰金1,100ドル)の対象になります。また5年以内に飲酒運転の再犯をした場合、免許停止期間と罰金の決定の際に前科が考慮され、ほとんどの場合それらが倍増する事実も忘れてはなりません。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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