オーストラリアでの離婚までの要件と手続き

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Q

まだ結婚して1年半しか経っていませんが、オーストラリア人の主人の浮気が判明し離婚を考えています。その中で友人から「この国では12カ月間別居してからでないと離婚できない」と聞きました。これは本当ですか? また主人の一方的な過失なので慰謝料を取りたいのですが、取れるでしょうか。(32歳主婦=女性)

A

離婚の申請要件

オーストラリアで離婚手続きをするための要件は、離婚申請書の提出日にどちらかの配偶者が、①オーストラリア市民権保持者である、②オーストラリアを本拠地としている、③オーストラリアに在住する者であり、申請日よりさかのぼって12カ月間オーストラリアに在住している、のいずれかを満たすこととされています。

注目すべき点は、上記の条件がどちらかの配偶者に該当すれば良いということです。言い換えれば、例えば短期滞在ビザで滞在している日本人同士の夫婦でも、どちらかの配偶者が上記の要件を満たしていれば、オーストラリアで離婚を申請することは可能です。またご質問者のように結婚歴が2年に満たない場合は、マリッジ・カウンセラーからの意見書を提出することによって申請手続きを進められる場合もあります。

日本と違うオーストラリアの家族法

オーストラリアの家族法「Family Law Act 1975(Cth)」は、「婚姻関係が破綻し修復不可能な状態であること(Irretrievable Breakdown of Marriage)」が離婚判決を下す際の唯一の条件であると定めています。同法上では「責任不問の原則(No fault principle)」があり、離婚に至る原因やいずれかの配偶者に対する責任所在については一切問われません。この原則は、慰謝料や賠償金などの概念を払拭し、よってそのような目的の支払いを相手に要求することはできません。ここが日本のシステムとは違う点でしょう。別居と離婚申請「修復不可能な婚姻関係であること」の立証義務は、両当事者が申し立て日よりさかのぼって12カ月間継続して別居期間を経ていることが条件とされています。これには、いわゆる「家庭内別居」も別居している状態であると認められます。例えば同じ家に居住している夫婦の場合でも、互いの配偶者から完全に独立した生活を営んでいる場合は、別居している状態として主張することは可能です。また、離婚申請は両当事者が共同で行うことも、一方が単独で行うことも可能です。単独で申請をする場合に相手の承諾を得る必要はありませんが、裁判所には離婚申請が行われている事実を両当事者が認識していることを確認する責任があります。そのため、単独申請の場合には、申請者は裁判所に提出した書類を他方当事者に対して送達する義務があります。

離婚する際の留意点

オーストラリアで離婚するに当たり留意しなくてはいけない点は、離婚はあくまでも裁判所を通した「判決」であり、「届出」ではないという点です。また、離婚に伴う財産分与や子どもに関する取り決めに関しては、離婚申請とは別個に裁判所に申し立てを行わなければなりません。そして、それらの申請要件は、離婚申請時のものとは異なりますので更に注意が必要です。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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