リストラの上、カードローンが3万ドル。自己破産は可能ですか

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法律

Q

去年リストラになり、収入もほとんどなく、カード・ローンが約3万ドルまで膨れ上がり、到底返済できる状況ではありません。その取立てが厳しいので、知り合いに相談したところ、いっそのこと自己破産してはどうかと言われました。どうすれば良いでしょうか?(30代無職=男性)

A

確かに自己破産をすることにより債務者は債権者から法的に解放され、人生を再スタートできることになります。しかし、世の中はそれほど甘くはありません。一度自己破産をしてしまうと社会的信用を失うことになり、将来的に大変な「足かせ」となる可能性があります。

例えば、新たなクレジットカードが作りにくくなったり、銀行からの融資を受けるのが難しくなったりします。また、就ける仕事が制限されたり、破産宣告中、海外渡航をするために管財人から事前の許可が必要になったりします。従い、自己破産はそう簡単にするべきものではありません。

しかしながら、債権者と話し合いをする上で「自己破産」は大変頼りになる切り札です。というのも、債権者のあなたに対する最重要事項は借金をいかに返済してもらうかであり、あなたを自己破産させることではないからです。もしあなたが自己破産をした場合、清算人の費用などを考慮すると、カード会社はおそらく1ドルも回収することができないでしょう。従い、カード会社にとってあなたを自己破産させることは全く得策ではありません。

では、あなたが今持っている資産を全て売却し返済に充てれば、残りの債権は全て放棄してくれるかと言えば、そう簡単にはいきません。カード会社と和解するためには、うまく交渉をする必要があります。まず必要なのは、あなたの全財産は本当に全て上述の通りであり、かつ収入がほとんどない旨をカード会社に信用してもらう必要があります。そのためには、あなたの誠実な態度及び反省が必要です。

また、あなたがなぜこのような状況に陥ったかの経緯(リストラになったことなど)及びカードでどのような買い物をしたのかも重要になるでしょう。

例えば、そのほとんどが生活必需品であれば、カード会社から同情を得られるかもしれません。私の経験から最も有効だと思われるのは、「もし残額を放棄してくれるのであれば、父親または他の親戚から多少まとまった額(例えば1万ドル)を借りることができ、これを返済に充当できる」というようなことを、カード会社にオファーできれば和解の可能性も出てきます。

なお、各カード会社及び銀行は、問題のあった顧客に関する情報を共有している可能性もありますので、過去に他の金融機関と同じような問題があった場合は、破産させられることも考えられます。いずれにせよ、カード会社との交渉に当たっては、できれば専門家の助言を受けることが良いと思います。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


林 由紀夫(はやし ゆきお)
H&H Lawyers

横浜市出身。1972年来豪。78年ニュー・サウス・ウェールズ大学法学部卒(法学士、法理学士)。79年弁護士資格取得。同年ベーカー&マッケンジー法律事務所入所。80年フリーヒル・ホリングデール&ページ法律事務所入所。84年パートナーに昇格。オーストラリアでの日系企業の事業活動に関し、商法の分野でのさまざまなアドバイスを手掛ける

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