補助金「ファースト・ホーム・オーナー(First Home Owner)」の申請条件

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シドニー近郊で家を購入することになりました。初めての住宅購入なのでファースト・ホーム・オーナー(First Home Owner)として補助金を申請しようと思っていますが、申請要件がよく分かりません。また、現在他州でも仕事をしており、NSW州に戻ってくるまでの間、購入した物件を賃貸に出したいのですが、何か問題はありますか。(30代会社員=男性)

A

ファースト・ホーム・オーナー・グラント(以下、FHOG)は、2010年7月に導入された制度で、各州のFirst Home Owner Grant Actという州法によってその条例が定められています。FHOGには「補助金制度」と「印紙税の割引」の2つの補助制度があります。

補助金制度の場合、NSW州では、条件を満たせば1万ドルの補助金が受給できます(18年8月現在)。その対象となる物件は新築の物件、大規模な改築を行った家または既存の家を取り壊して新しく家を建てた場合などです。NSW州の場合、新築物件の購入上限額は60万ドル、これから新しく建てる場合の物件価格の上限は75万ドルとなっています。

同補助金の申請時期は、金融機関を通じた申請と個人で直接申請する場合とで異なります。金融機関を通じての申請は、契約後すぐ(または家の基礎ができてから)可能となりますが、直接申請する場合は、正式な所有者になってから(または家を建てる場合は居住可能になった日から)12カ月以内となっています。

一方、印紙税に関しては18年現在、NSW州ではFHOGが適用されると物件価格が65万ドルまでであれば印紙税は免除となり、65万ドル以上80万ドル未満であれば割引となります。住宅地に土地だけ購入する場合は35万ドルまで無税、45万ドルまでが割引となります。印紙税のFHOG申請は、弁護士または不動産譲渡取扱人が、印紙税を支払う際に一緒に申請するのが一般的です。

上述の補助制度を受けるために州によって異なる要件がありますが、概要としては、①18歳以上のオーストラリア市民または永住権保持者であること、②(会社や信託ではなく)個人として申請すること、③過去にオーストラリア国内で物件の所有や利益を持ったことがない、④過去にFHOG関連の補助金や印紙税割引を受け取っていないこと、⑤規定の居住条件を満たすこと、などが挙げられます。

居住条件に関しては、NSW州では「購入後12カ月以内に本住居(Primary Residence)として最低6カ月間継続(VIC州、QLD州では12カ月継続)して居住すること」が義務付けられています。従ってNSW州在住の相談者の場合、「購入後12カ月以内にテナントが退去する」という短期の契約であれば、賃貸に出すことも可能です。しかし、ご自身が上述の居住条件を満たすことができなければ、当局にすぐに通知し、それまでに受け取った補助金全額を返金しなくてはなりません。

また、最初から居住する気がないにもかかわらず、その事実を偽って申請した場合、虚偽の申請として罰則が科される対象になります。州によって罰則は異なりますが、判例によると罰金が科せられることは必至であり、更に悪質性が高いと考えられる場合には刑法や「Oath Act」などの法令に準じた罰則の対象となることもあるようです。よってFHOGを申請する際には、慎重に準備することをお勧めします。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

1998年NSW大学卒業(法学士・教養学士)。同年弁護士資格取得。1998年より数々の法律事務所での経験を重ねた後、「Yamamoto Attorneys」を設立、現在に至る

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