購入先のお店に返金を求めたら、セール品は返金対象外と言われました

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Q

先日、衣料品店でセールをやっていたのでジーンズを1本買ったところ、2回はいただけでジッパーの部分が壊れてはけなくなってしまいました。店に返品しに行ったところ、「セール品ですので返品は受け付けません」と言われ、騙されたような思いです。法的にどうにかできないのでしょうか。(30代女性=主婦)

A

オーストラリアでは、消費者保護法(Australian Consumer Law=以下、ACL)により、消費者にはさまざまな権利が保証されています。ACLの適用範囲は大変広範囲にわたり、商品だけでなく、サービスにも適用され得ます。ACLの第54条では、その商品が妥当に「安全で、耐久性を備え、瑕疵(かし)なく、外見にも問題なく、通常の用途にかなう物である」という、いわば法律上の品質保証を定めています。今回のケースについて言えば、2度着用しただけで壊れるような衣類は少なくとも「妥当な耐久性」があるとは言えないでしょうから、店はこのジーンズの返金、交換、または修理をする義務があると判断します。

ACLの第54条では、その商品につき、一般的な用途、価格、表示などが考慮され、その商品の「妥当な品質」の保証度合いが判断されます。例えば、5ドルのTシャツの場合は、50ドルのTシャツの場合に比べ、保証される「妥当な品質」の度合いは当然低くなります。つまり、5ドルのTシャツを数回洗濯して色落ちしても、恐らく消費者保証のクレームはできないでしょう。冷蔵庫などの白物家電が1年の通常使用後に壊れた場合には「妥当な耐久性」がないと考えられるでしょう。よく家電などの商品には、決められた期間(例えば1年)のメーカー保証が付いて来ます。しかし、たとえこのメーカー保証期間が切れたとしても、上記第54条が適用されるのであれば、消費者の商品の欠陥に対する権利は継続します。ちなみに、メーカー保証書の中には「このメーカー保証は消費者のACL上の権利を制限するものではない」と記載することが義務付けられています。

また、購入した商品が“セール品”や、中古品、インターネット・ショッピングで購入したものであっても、保証の度合いに差はあるでしょうが、原則的に第54条は適用されます。

ACLの消費者保証が適用されないケースの例としては、レシートなどの提示ができず、その店から購入した証明が不可能、個人間(ガレージ・セールなど)またはオークションで購入した、普通でない使い方をした、品質に何ら問題はなく「購入後に気が変わった」という理由だけで返品しようとする場合などがあります。

今回のようなケースで、店がジーンズの返品に応じてくれない場合には、店のマネージャーに「Australian Competition and Consumer Commissionや、Fair Tradingなどの機関に相談する」と、まずは伝えてみることをお勧めします。それでも応じてくれないようであれば、実際にこれらの機関に連絡すると良いでしょう。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せ頂いたご相談は、紙面に掲載させて頂く場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


林 由紀夫(はやし ゆきお)
H&H Lawyers

横浜市出身。1972年来豪。78年ニュー・サウス・ウェールズ大学法学部卒(法学士、法理学士)。79年弁護士資格取得。同年ベーカー&マッケンジー法律事務所入所。80年フリーヒル・ホリングデール&ページ法律事務所入所。84年パートナーに昇格。オーストラリアでの日系企業の事業活動に関し、商法の分野でのさまざまなアドバイスを手掛ける

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