遺言について

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Q: 遺言についてですが、その内容の一部に変更が生じた場合、その都度遺言の訂正は必要でしょうか。例えば一任する会計士を変更した場合なども変更すべきですか ? また、遺言とはどの程度の決定権を持つでしょうか ?
(40歳女性=主婦)

A: まず遺言書の意義、そして遺言書が遺族に与える権限についての解答から始めます。

遺言書とは自分の遺産がどのように分配されるか、誰の采配で遺産分配、生前の諸事の整理が行われるか、とられるべき葬式の形式は何かなどが明記される文書で、こうした処理に故人の遺志を反映させる手段は遺言書のほかにはありません。

遺言書を残さずして死亡した場合、遺産は故人の意思とは無関係に、関連法律に従って規定の親族に規定の配分で分配されることになります。

相続権を与えられている親族は、配偶者、あるいは内縁関係(De Facto Relationship)の配偶者、子ども、孫、親、兄弟姉妹、祖父母、叔父、叔母とされています。関連法律上相続権を与えられている近親者が誰も存在しない場合(つまり、従兄弟より近い近親者が遺族に存在しない場合)、故人の遺産は国家に帰属することになります。当然のことながら、ある特定の近親者に対して分配割合を多くしたいと思っていても、あるいは、友人やチャリティー団体などに遺産を分配したいと思っていても、これらの遺志が遺言書で明記されていなければ実現することはありません。

遺言書を作成することは、自分の財産を誰にどのように分配するかについての本人の意思を明確に示すことができる唯一の手段であるということから、これがいかに重要なことであるかが分かります。

次に遺言書訂正の必要性についてですが、端的に言えば、遺言書は常に自分の境遇に合致したものである必要があり、結婚や離婚など、境遇に変化がある都度、新たに作成する必要があります。遺言書作成後に結婚した場合、婚前に作成された遺言書は一般にすべて無効となります。離婚は必ずしも遺言書の内容全てを無効にするものではありませんが、離婚した配偶者に関係するすべての項目は無効となります。

推測するに、質問者ご自身の会計士を遺言執行人(executor)に任命しておられるのであろうと思います。遺言書中の関連条項でその任命がどのように規定されているか(つまりどのような言葉で書かれているか)によっては訂正の必要がない場合もあります。

例えば「XXX氏(現会計士)、あるいは遺言書作成者没時に依頼を受けていた会計士」などとした表現で規定されていれば遺言書変更の必要はないということです。逆に、現会計士だけが限定的に任命れている遺言書であるのであれば、早い時期に関連条項の変更、あるいは遺言書の再作成を検討することをお勧めします。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。

 


 

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山本(青木)智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys
 
 
NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している

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