日本の親からの援助金で買った夫と共同名義の不動産、財産分与は?

Q このたび不動産を購入することになりました。もうじきこちらで結婚するのでフィアンセと共同名義にしようと言っていますが、購入資金に関しては全額日本の両親からの援助を受けることにしており、両親が気にしている点は、もしも将来的に離婚した場合にも購入する家は私のものであると主張できるのかということです。生涯私だけのものであると主張することを確実にする方法はあるのでしょうか。
(30歳会社員=女性)

 

A まず、ご自身が現在永住権あるいは市民権保持者であるか否かによってコメントが変わってきます。オーストラリアには海外からの投資を規制するポリシーがあり、政府はこのポリシーのもと非居住者による不動産投資を原則的に制限しています。もちろんこの規制にはさまざまな例外条件が設定されていますが、もしもご質問者が同ポリシーに該当する可能性がある場合には不動産購入前にこの点について調査する必要があります。

不動産を他人と共同購入する場合には「ジョイント・テナンシー」または「テナンシー・イン・コモン」の2通りの方法があり、一般に言われている「共同名義での購入」とはジョイント・テナンシーによる保有形態のことを指し、共有者は不動産全体の所有権と占有権を有します。つまり、例え不動産購入における出資額の割合が共有者の間で均等でなくとも、所有者としての同等の権利が与えられるというわけです。また、共有者の片方が死亡した場合、故人の不動産に対する権利は他方の共有者に移転します。つまり、故人の遺言書に記されなくとも、また、遺言書の内容にかかわらず、残された共有者に故人の権利がすべて譲渡されるということです。さらに、ジョイント・テナンシーで不動産を共有する場合、売却したり抵当権を設定する際には他方の共有者の同意なくしては不可能となります。

これに対してテナンシー・イン・コモンによる保有形態は1軒の不動産に対する共有者の権利配分が必ずしも等分である必要がなく、出資額の割合などに応じて権利を案分することができます。また、共有者は各々の持つ権利を単独で売却したり、それに対して抵当権を設定したりすることができます。もちろん遺言により共有者以外の者に譲渡することも自由です。

共同名義での購入とのことですが、そうすることの特徴をよく理解した上で決定することが肝要です。離婚に際した時のことを懸念し、また前述の政府投資規制が関係しないのであれば、単独名義での購入検討もお勧めします。しかしいくら単独名義で購入したとしても結婚期間中にその不動産のメンテナンスのために費やす労力や費用などは資産保持のための貢献として夫が主張できる権利が発生する可能性はあります。また、結婚期間が長くなればなるほど、離婚に際しての財産分配では結婚前に単独所有していた資産も夫婦の資産に含めるとする主張が優勢になってくるのも事実です。子どもが存在する場合にはこうした主張はより一層優勢になります。

結婚前に所有していた資産は離婚の際もそれぞれの所有権を主張することを目的とした同意書をフィアンセと結婚前に交わすことも可能です。ただし、こうした同意書の有効性についてはこれから先の結婚の期間、子どもの有無やそのほかの予期しえぬ境遇によって議論の対象となりえることがあることも事実です。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

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