遺言なしで死亡した場合、財産は国が没収するって本当?

Q オーストラリアでは遺言を残さずに死亡したら財産は即、すべて国が没収してしまうと聞きました。本当ですか。
(25歳学生=男性)

 

A 当地の法律に不慣れな移民者等だけでなく、中には当地で生まれ育ったオーストラリア人でもそう信じている人が少なくないようですが、いとこより近い近親者が遺族に存在し、名乗り出た場合には、国が遺産を没収することはありません。故人が遺言不存在のまま死亡した場合、遺産は故人の意思とは無関係に関連法律に従って規定の親族に、また規定の配分で分配されることになります。相続権を与えられている親族は、配偶者、あるいは内縁関係(De Facto Relationship)の配偶者、子ども、孫、親、兄弟姉妹、祖父母、おじおばとされています。ただし、関連法律上相続権を与えられている近親者が誰も存在しない場合、故人の遺産は国家に帰属することにはなります。

当然のことながら、ある特定の近親者に対して分配割合を多くしたいと思っていても、あるいは、友人やチャリティ団体などに遺産を分配したいと思っていても、これらの遺志が遺言で明記されていなければ実現することはありません。遺言を作成することは自分の財産を誰に、どのように分配するかについての本人の意思を明確に示すことができる唯一の文書であるということから、遺言を作成することがいかに重要なことであることはお判りいただけると思います。また、法的に有効な遺言を残すことは残された遺族やほか関係者が最も速やかに、最小のコストで遺産を処理できることにもつながります。

内縁関係や同性愛関係が存在する場合などは特に、故人生前にそうした関係が存在していたことの証明をすることにおいて比較的問題が生じやすいため、遺言作成の重要性はさらに増します。また、そうした関係と同時に婚姻関係も継続していた場合、法律上内縁関係の配偶者が婚姻上の配偶者に優先される場合がある点についても認識しておく必要があるでしょう。

なお、遺言は、結婚や離婚など、自分の境遇が変化するにつれ新たに作成する必要があります。遺言作成後結婚した場合、婚前に作成された遺言は一般にすべて無効となります。離婚は必ずしも遺言の内容すべてを無効にするものではありませんが、離婚した配偶者に関係するすべての項目は無効となります。

遺産とその分配にちなんで特筆すべき点としては、故人の不動産がだ遺産者と共同名義で所有されていた場合には、遺言の内容、また遺言自体の存在、不存在にかかわらず、他方名義人が故人の所有部分を相続すること、子どもに関しては、養子も実子も同等の相続権を与えられ、嫡出、非嫡出の別は法律上存在しないということなどです。

なお、本記事は法律情報の提供を目的として作成されており、法律アドバイスとして利用されるためのものではありません。


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山本 智子(やまもと ともこ)
Yamamoto Attorneys

 

NSW大学法学部・教養学部卒。International Lawyers Co-operativeのメンバーであるYamamoto Attorneysの代表として各種法務を遂行している。

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