【特集】質問にスペシャリストが詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談(QLD)

質問にスペシャリストが詳しく回答 日豪プレス法律&ビザ相談

市民権

Q

10年ほど前にワーキング・ホリデーで来豪し、2年前に雇用者スポンサーで永住権を取得してこちらに住んでいます。今回、市民権を取得したいと思っているのですが、ニュースなどで市民権取得の条件が厳しくなったと聞きました。詳細について教えて頂けますか。

Q

オーストラリアの市民権を取得するための方法は幾つかありますが、今回ご相談頂いたのは、標準居住条件(General Residence Requirement)を満たした永住者が申請書を提出することによって取得する方法についてです。この方法では、18歳以上60歳未満の永住権保持者で、標準居住条件を満たし、かつ犯罪歴や健康状態を総合的に判断した上でオーストラリアにとってリスクにならないと判断された人物である必要があります。この条件全てを満たし、市民権テストに合格し、オーストラリア国民になるための宣誓を行うことによって市民権を取得することができます。

さて今回の質問にあるように、2017年4月、オーストラリア政府により、市民権を取得するための条件を厳格化する計画案が発表されました。今般、豪州連邦議会に提出された市民権の取得条件の厳格化に関する議題「Australian Citizenship Legislation Amendment(Strengthening the Requirements for Australian Citizenship and Other Measures)Bill 2017」では、標準居住条件や英語能力などに関する条件が厳格化の対象とされています。そして、上記のそれぞれの厳格化に関しての内容は、以下の通りとなっています。

①標準居住条件

現行法では、申請時からさかのぼり4年間を通して有効なビザ保持者としてオーストラリアに滞在しており、そのうち申請直前の12カ月間は永住権保持者として居住していることとなっています。

現在議会で議論されている改定内容では、永住権保持者としての居住期間を大幅に長くする方向で、市民権の申請直前の4年間にわたり永住権保持者として居住していることが求められることになるようです。

②英語能力

現行法でも一般的な英語能力を保持することが条件とされていますが、市民権申請時に行われる市民権テストに合格することによって、英語能力の条件が満たされていることの証明とされていました。

今般の改定内容では、英語能力の判定が追加されます。この方法として、高度な英語能力を査定するための設問が市民権テストの中に組み込まれるのか、別途英語能力試験の証明を提出することになるのか、など議論されていますが、まだ決まっておりません。しかし、今までよりも厳しく英語能力の判定が行われ、一定以上の英語能力が市民権取得の要件となるのは間違いありません。

当稿執筆時点では、議会はこの法律改定について議論をしている最中ですが、もし議会を通過した場合、17年4月20日以降に提出された市民権の申請については新法を適用した上で査定されることになります。

記載された情報は市民権に関する一般的な情報であり、必ずしも全ての方に適合するものではありません。市民権の申請を考えている方で、申請条件や方法について不安がある方は一度ご相談ください。

飯田嵩哉(いいだたかや)

WIDAUS
豪州登録移民エージェント(MARN 1794585)「WIDAUS(ウィダス)」代表。ブリスベンでビザと留学に関するコンサルタント業を行う。ビザ、市民権、学校などについて悩みの相談を受け付けている


就労ビザ

Q

今年の4月18日に発表のあったサブクラス457就労ビザ(以下457ビザ)の廃止について、今後、457ビザが廃止されることで就労ビザまたは永住権の申請条件において何か変更点はありますか。そして、永住権の取得にはどのような対応が必要になりますか。

Q

457ビザは、来年の3月から廃止され「Temporary Skill Shortage(TSS)visa」と改名されますが、スポンサーが必要なビザであることやオーストラリアで就労可能なビザであることなど、基本的な内容は457ビザと変わりはありません。

ただし、ビザ申請に当たっての職業リストの名称が今年の4月時点で、中長期的に不足しているとされる職業のリスト「Medium and Long Term Strategic Skilled List(MLTSSL)」と、短期的に不足しているとされる職業のリスト「Short-Term Skilled Occupation List(STSOL)」に変更されました。

上記2つの職業リストのうち、MLTSSL内の職業で就労ビザを申請する場合、IELTS(または相当のテスト)の全ての項目で5.0以上の点数が必要となる、またSTSOLの職種での申請の場合、オーストラリア国内で1回までの更新が可能になるといった情報のアップデートがありました。

一方で、雇用主指名ビザ(ENS/RSMS)による永住権申請には大きな変更があり、MLTSSL内の職種のみ3年間の雇用を経て永住権の申請が可能になることになりました。つまり、STSOLの職業では今後永住権申請はできなくなる可能性があることを意味します。また、地方雇用(RSMS)の場合は、MLTSSLに加え、ある一定の職業での申請が可能になることが予想されます。

今回の457ビザ廃止に関する法改正の中で、多くの人に非常に大きな影響を及ぼすことが考えられるのが、MLTSSL内の職業でしか永住権の申請ができなくなることであると思います。現時点で457ビザを取得されている方も、2018年3月までに自身の職業がMLTSSLに入っていない場合は、永住権の申請ができなくなる恐れがあります。

そのため、既に457ビザをお持ちで、来年3月までに永住権を申請できる方は、必ず3月前までの申請を目指すことが重要になります。ただし、永住権の申請条件であり今年7月に変更のあった英語力(IELTSの全ての項目で6.0以上)がネックになってくる方が多くなるのではないでしょうか。

また、現時点で雇用主指名ビザによる永住権の申請で直接(Direct Entry Stream)の申請条件を満たしている方は、来年3月までに申請準備を整えておくことをお勧めします。

来年3月以降から永住権の取得を目指す場合、MLTSSL内の職種での申請しかスポンサー元での永住権を取得できる方法はなくなってしまいます。地方であれば、MLTSSL以外での職業でも申請可能になることも発表されていますが、今のところ詳細は明らかにされていません。

もし今後、就労ビザまたは永住権の申請をお考えという方は、最新の情報を常に確認すると共に、申請の対策について事前に移民エージェントにご連絡することをお勧めします。

小澤光史(おざわこうし)

Fenson & Co Lawyers
中学1年生の時、単身海外留学をするなど国際経験が豊富。QLD州ボンド大学を卒業後、弁護士資格を取得。自分自身の経験からもビザがいかに重要なのかを熟知し、豪州登録移民エージェント(MARN 1461445)として依頼人の人生に関わる責任の重さを感じながらも、誠実かつ的確に仕事に取り組んでいる



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