オーストラリアの相続手続きで必要になるProbateについて - 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第6回:オーストラリアの相続手続きで必要になるProbateについて

オーストラリアの相続手続きでは「Probate」と呼ばれる手続きが必要です。Probateとは日本でいう“検認手続き”のようなものです。オーストラリアでは、遺言に基づいた相続手続きに関しての取り決めは、裁判所が認定するプロセスのことを指します。オーストラリア国内において銀行口座、不動産、株式などの相続手続きを行う際、最終的に必要となるのは“遺言状”ではなく、“検認証”なのです。日本では家庭裁判所に申請を行いますが、オーストラリアでは高等裁判所に申請を行います。

■検認手続きは、どうして必要なのですか?

例えば、亡くなられた方がオーストラリアの銀行に預金口座を保有していたとします。この場合、ご遺族の方は銀行側に事情を説明し、預金残高の引き出しと口座の閉設手続きを行う必要がありますが、銀行側は法律に基づいて以下の証明を要求してきます。

1. 口座名義人が亡くなられていること
2. 依頼者が相続手続きを代行する権利を有していること
3. 依頼者の身元保証と賠償契約の締結

その一方で、名義人が本当に亡くなられているのか、遺言状が本物なのか、民間企業が勝手に判断することができないものです。後になって、銀行側が“勝手に資産を動かした”名義人(実は生存している場合)や、他の相続権保有者(例:依頼者の兄弟)から訴えられることのないよう、裁判所で所定の手続き(すなわち、Probate)が必要になるということです。同様に不動産の名義変更や株式譲渡などを行う際にもProbateが必要となります。

■日本に住んでいる日本人が亡くなった場合でも、オーストラリアの検認手続きは必要なのですか?

オーストラリア国内の銀行口座、不動産、株式などの相続手続きが必要な場合にはオーストラリア国内で有効な検認手続きが求められます。

オーストラリアのクイーンズランド州では国外の裁判所による遺言相続における認定をBritish Probates Act 1898という法律に基づいて認知しているのですが、残念ながら、日本は前述の国際協定を批准していません。

すなわち、仮に日本の家庭裁判所による検認手続きを経ていた場合であっても、オーストラリア国内の資産に関する相続手続きには、オーストラリアの検認手続きを行う必要があります。オーストラリアで有効な遺言状がない場合にはLetter of Administrationといった申請を行う必要があり、得てして話がややこしくなる場合がありますので、オーストラリア国内に資産を保有されている場合には日本在住でもオーストラリアで有効な遺言状を作成されておくことをお勧めします。


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後10年以上にわたって訴訟を中心に応対

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