臓器提供と献体についての法律 - 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第7回:臓器提供と献体について

あなたの死後、オーストラリアでは臓器や皮膚や目などの人体組織を、必要としている病人に提供することができます。オーストラリアでは次の臓器・組織を提供できます。

臓器: 腎臓、心臓、肺、肝臓、及びすい臓を含む
組織: 心臓弁、骨組織、皮膚、眼及びすい臓の組織を含む

臓器提供は死後速やかに実施され、提供者の身体は常に尊厳と尊敬を持って扱われます。臓器・組織を提供したことで身体の外見が変わることはありません。臓器提供を行えるかどうかは、脳死であったり、死後間もなく手術が行えるかどうかであったりと特定の条件がそろっている必要があります。よって、必ずしも臓器提供が行われる訳ではありませんが、他の人に命を提供することは、病人の命を救ったり、その方の人生を大きく変えることにつながり、生涯最高の贈り物となり得ます。

臓器提供を希望する方は、生前に臓器提供の意思を表示しておく必要があります。「Australian Organ Donor Register」という政府機関にて、臓器提供の意思を登録しておくことができます。ここで重要なのは、臓器・組織提供を行う状況が発生した場合、提供者の家族にも臓器・組織提供を続行するための同意が求められますので、家族にも意思を伝えておかなければりません。

臓器提供とは異なりますが、献体と言って、自分の死後、遺体を医学の教育と研究のために役立ててもらいたい場合には、事前に大学などの機関に意思を伝えて登録しておくことができます。ここで提供された遺体は、医学生や医師の研修などに利用され、医学の発展や優秀な医師の育成に役立てられます。

臓器提供が行われた場合には献体を行うことはできません。しかし、臓器提供のように特定の条件がそろっていなくても、献体は故人の遺志が比較的尊重されやすいのが特徴です。遺言状に献体の意思を認めておくこともできますが、大学や病院などによっては、事前に献体の意思を登録しておかないと受け入れてくれない場合がありますので、献体を希望される場合は、事前に提供を希望する大学や病院などに確認しておいたほうが良いでしょう。

原則として、献体も臓器提供も無報酬・無条件で行われます。献体が行われた場合、医療機関側で火葬が行われ、遺灰以外は家族に返されない場合が一般的ですので、葬式などを希望される場合には注意が必要です。


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後10年以上にわたって訴訟を中心に応対

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