オーストラリアにおける離婚手続き - 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第11回:オーストラリアにおける離婚手続き

ドラマや映画などの影響からか、日本人の中には協議離婚の際には離婚届に判を押すことで離婚が成立するものと考える方も多いようですが、オーストラリアの離婚手続きは日本のものとは全く異なります。そこで、オーストラリアの離婚手続きを簡単にご説明したいと思います。

まず、オーストラリアで離婚手続きを行う場合、オーストラリアの家族法(連邦法)では以下の要件を満たしている必要があります。

1. 夫婦生活が完全に破綻しており
2. 将来的に夫婦生活が修復する見込みが認められないこと

やはり、夫婦が離婚に至る事情は夫婦ごとに異なるものですから“夫婦生活が完全に破綻しており”、“将来的に夫婦生活が修復する見込みが認められないこと”というのは、一見して不明瞭のように思えます。

しかし、オーストラリアの法律における解釈は至って明確であり、オーストラリアの家族法では離婚に至った事由は一切考慮されず、離婚成立に当たっては1年以上の期間を通して夫婦が別居していなければなりません。

すなわち、オーストラリアの法律では、夫婦が1年以上別居している状況をもって、実質的には夫婦生活が存在していないわけですから、“夫婦生活が完全に破綻しており”、“将来的に夫婦生活が修復する見込みが認められないこと”と判断して離婚を認めているのです。そして、日本のように役所に離婚の届け出を行うのではなく、オーストラリアでは連邦裁判所に申請を行った上で婚姻関係を解消する旨の判決を取得する必要があります。

これはオーストラリアの結婚制度では、結婚制度上のカップルとして決めることの中で最も大きなものの1つである“人生の伴侶として人生を共に歩む契約”について非常に重く捉えているためです。ですから、日本の協議離婚のように“簡単”に“無料”で“すぐ”に離婚は成立しません。オーストラリアの離婚における裁判所の申請費用は865ドル。申請から審理が設定されて離婚の仮判決が出されるまでのタイム・スパンは裁判所の混み具合にもよりますが、2~4カ月を見て頂く必要があります。加えて、仮判決から本判決になるまで更に1カ月かかりますので、実際には別居から離婚が成立するまでに少なくとも15~17カ月は見てください。

なお、見落とされがちですが、この期間に相続問題が発生しますと、意図していなかった相続権が発生してしまいますので、遺言状の見直しも併せて行っておくのが良いでしょう。


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後11年以上にわたって訴訟を中心に応対

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