オーストラリアの相続手続きについて - 身近な法律問題

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法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第14回:オーストラリアの相続手続きについて

オーストラリアの相続手続は大きく分けて、Grant of Probate(遺言書の存在している場合)とLetter of Administration(相続書が存在していない場合)のどちらかの検認手続きを経て行われます。Grant of Probateでは遺言書で故人が指定したExecutor(遺言執行人)が遺言状に基づいて遺産を分配し、Letters of Administrationでは最近親の方がAdministrator(遺産管財人)として遺産分配を法律に従って行います。

これらの検認手続きでは、遺産が所在している地域の司法管轄権を有する高等裁判所に申請を行い、相続手続きにおける阻害事項がないこと、申立人が相続手続きを行う権限を有している旨の承認(Seal)が裁判所によって行われます。クイーンズランド州高等裁判所に前述の申し立てを対して行う場合はUniform Civil Procedure Rules 1999(民事訴訟法)が定める前提条件をクリアしている必要があります。

具体的には、1. 被相続人が亡くなられたことの告知、2. 遺言状の存在、または、Intestate(故人が遺言状を残していなかった旨)の告知、3. 申し立て人が検認手続きを裁判所に申し立てる旨の告知、そして、4.申し立て人の選出について異議申し立てを受け付ける旨の告知、これらの内容を含む告知を州内全域に流通する新聞、並びに官報紙に掲載した上でPublic Trustee(公認受託者)に該当の記事を送付し、そこから最低14日間が経過した時点でクイーンズランド州高等裁判所に検認手続きの申し立てを行う形となります。

通常、全ての申請書類が整うまでに3週間から6週間程度、裁判所に申請して承認されて証書が発行されるまでに4週間から7週間程度ですから、最短で進んだと仮定して検認手続きには2~3カ月程度かかります。

ただし、これはオーストラリアに住むオーストラリア人が亡くなった場合の話です。日本人が日本で亡くなられている場合や、申立人が日本在住の場合などは必要とされる書類も異なりますし、英語以外の書類はオーストラリア政府認定の公認翻訳を付けて提出しなければなりません。実際に進めてみないと見通しが立たない場合もあり、予想通りに話が進まない場合が多いものですから、最低でも6~9カ月程度を見ておくと良いでしょう。

なお、相続手続きで必要となる実費の目安は大体以下の通りです。

◆Supreme Court Filing fee(高等裁判所費用) $637.40
◆Courier Mailなどの新聞への掲載費 $500~600(新聞、文字数により変動)
◆Queensland Law Reporter(官報紙)への掲載費 $161.70
◆オーストラリア政府認定の公認翻訳 料金は内容により変動


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後11年以上にわたって訴訟を中心に応対

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