揉めない遺言書の作り方 – 身近な法律問題

もっと知りたい!身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第27回:揉めない遺言書の作り方

「相続手続きで揉めてしまった。遺言書が存在すれば良かったのに……」。よく耳にするような話ですが、本当に遺言書があれば、全く問題は起きないものでしょうか。必ずしもそうとは言い切れません。遺言書があっても、揉めたり、わだかまりが残ったりする場合はあります。

例えば、2人の子どもが30万ドルの貯金を平等に相続するなら、分かりやすく揉めることもないでしょう。しかしその一方で、やはり揉めやすいのは、平等でない遺言の場合です。

そこで、私が弁護士として経験してきた中で、お勧めしたい「揉めないための相続対策」があります。

いろいろと考えた結果、やはり問題が起こらないことが何よりですから、読者の方にぜひ参考にして欲しいと思い、本コラムで遺言書に関するアドバイスをすることにしました。

それは非常にシンプルなことで「相続対象者全員を一堂に集めた上で、生前に遺言内容を彼らに伝えてしまう」ということです。

ごく稀に日本の年配の方の中には、「長男が全ての財産を貰える」と勘違いされているケースがあります。ご本人には悪気がない場合がほとんどですから、大抵の場合、直に父親(母親)から遺言を聞かされていれば、自然と納得するものです。

また、「なぜ、そのような相続を希望するのか」の理由を併せて伝えてしまうのが良いと思います。それでも納得いかないようなケースでしたら、死後に遺言書の内容を聞かされて揉めることは安易に予見(想像)できるでしょう。

実際に私が対応したケースとして、病院で寝たきりになった方から遺言書の作成を依頼されたことがあります。その方は90歳を超える高齢にもかかわらず、意識はしっかりとしていて、正常に判断ができる方でしたので、私も快く引き受けさせて頂きました。その上で、死期が近いということもあり、日本から子どもたちが来豪して、私も遺言書の内容の公開に立ち会わせて頂きました。

その際のやり取りですが、まず、ご本人様から、私が遺言書の作成の依頼を受けている弁護士であることを説明してもらい、全員がそろっている場で遺言内容を私から説明し、この遺言内容が適法である旨の説明をさせて頂きました。簡単なことですが、これだけです。

このような形で遺言を遺しておくと、心情的にも納得できるでしょうし、法的に揉める要素を払拭することができます。

なお、オーストラリアの遺言書についてのコラムは以下のウェブサイトをご参照ください。

■Web: kklaw.com.au/archives/will.html


弁護士:神林佳吾(神林佳吾法律事務所代表)
1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後13年以上にわたって訴訟を中心に応対

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