オーストラリアのアニュアル・リーブ – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第36回:オーストラリアのアニュアル・リーブ

Q: 会社を経営しており、クリスマスと年末年始はビジネス閑散期なので、休みを取ろうと思っています。この期間中、従業員にアニュアル・リーブを取ってもらうことはできますか。

アニュアル・リーブとは?

「アニュアル・リーブ(Annual leave)」とは年次有給休暇のことを言い、労働者の休暇日のうち、雇用主から賃金が支払われる有給の休暇日のことです。1年ごとに毎年一定の日数が与えられ、雇用契約に基づいて従業員は、アニュアル・リーブを使用して有給で休暇を取ることができます。

現在のオーストラリアの雇用法である「National Employment Standards」では、フルタイムで働いている場合は最低4週間のアニュアル・リーブが発生します。使用しなかった場合は、その日数分が繰り越して累積されるので、退社時にまとめて使用したり、キャッシュ・アウト(現金化)することもできます。

雇用主が従業員にアニュアル・リーブを取るよう要請できるか?

質問のクリスマスや年末年始の期間に売り上げが見込めないビジネスの場合、その期間中はビジネスをせずに休暇に入ることは必ずしも不合理ではありません。むしろ、お客さんが来ず、売り上げが見込めない期間はお店を閉めたいと思うのは普通のことです。

そのような場合、雇用主が従業員にアニュアル・リーブを取るように要請できるケースには該当するAwardsに取り決めが存在しており、また特定の状況下であるといった条件が付きます。

特定の状況下とは、例えば、アニュアル・リーブが累積し過ぎた場合や、クリスマスや年末年始の期間などでビジネスが動かないことが挙げられます。それらの状況下で営業しない期間であれば、アニュアル・リーブを取るよう要請することは法律で認められています。各種雇用契約条件やAwardsで定められている条項で規定されているので、ご自身で判断が付かない場合は、適宜、専門家に確認するのが良いでしょう。

アニュアル・リーブ取得の要請は、例えば一定期間前持った上での書面通知などで行われます。

ビジネスをクローズする期間のアニュアル・リーブが足りない?

アニュアル・リーブがない、足りない場合ですが、前借りをするか、無賃金の休暇を取る形で同意してもらえます。もし、従業員がどちらにも同意しない場合、ビジネスをしない期間中も通常のレートで賃金を支払う必要があります。無賃金の休暇を強制させることはできないので、アニュアル・リーブがない、足りない場合は上手に話を持っていく必要があります。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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