遺言書を作成した方が良い人 – 身近な法律問題

法律は何となく難しいもの――そう思ってはいませんか?しかし法律は私たちの日常生活と切っても切り離せないもの。このコラムでは毎月、身の回りで起こるさまざまな出来事を取り上げ、弁護士が分かりやすく解説を行います。

第38回:遺言書を作成した方が良い人

最近は高齢化の影響もあって、相続・遺言に対する関心が高まっています。

今回はどのような人が遺言書を作成すべきか具体例を挙げて検討してみます。

  • 身寄りがいない場合

    全く相続人がいないということは現実的には考え難いですが、法定相続人は一定範囲の親族(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)に限定されているため、そのような身寄りが一切おらず、更に遺言書がない場合は、最終的に遺産は全て国庫に帰属することになってしまいます。
     従って、第三者や甥・姪以外の身寄りなどに遺産を贈与(遺贈)したいと考えている場合、遺言書を作成しておくことをお勧めします。

  • 配偶者と離婚を前提とした別居をしている場合

    仮に離婚を前提とした別居をしていたとしても、当事者が死亡しても、離婚は成立しないので、相手方に相続権が発生することになります。
     従って、配偶者と別居した時点で遺言書を作成するべきです。

  • 離婚歴のある場合

    離婚した元配偶者に相続権はありませんが、その相手との子どもには相続権があります。このような場合には、再婚した配偶者、あるいはその間の子どもとの遺産分割協議が円満に行われることは期待できないことが多いように思います。
     そうした場合、ぜひ遺言書を作成するべきです。

  • 配偶者が内縁関係の場合

    配偶者が内縁関係の場合であっても相続権は発生します。ただ、内縁関係かどうかの紛争が起きる場合がありますので、内縁の配偶者に遺産を残したいと考えるのであれば、必ず遺言書を作成すべきです。

  • 亡くなった長男の家族と同居している場合

    長男の子ども(孫)には相続権がありますが、長男の妻には相続権がありません。従って、面倒を見てくれた長男の妻に遺産を残したいのであれば、遺言書を作成しましょう。

  • その他

    葬儀や埋葬、墓地などについての希望、遺品などの処分、世話になった人びとへのお礼や感謝の気持ちの表明の仕方、ペットに関する指示など、自己の意思や考えも遺言で表明しておくことができます。

いずれにしても、相続人たちの仲が悪いなど、遺産分割協議が円満に行われないと思われる場合は、遺言書を作成しておくことをお勧めします。


弁護士:神林佳吾
(神林佳吾法律事務所代表)

1980年東京生まれ。95年渡豪、2004年クイーンズランド大学経営学部・法学部、同大学大学院司法修習課程修了後、弁護士登録。以後14年以上にわたって訴訟を中心に応対

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