財物保険におけるSum InsuredとLimit of Liabilityの違い

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Q 弊社は当地で複数の拠点に在庫を持ちながら自社商品の輸入・販売を行っています。先月よりシドニーに赴任してきましたが、前任者より財物保険の内容について「Sum Insured」と「Limit of Liability」の2つの異なる数字の説明を受けました。これらはそれぞれどのような意味を持つもので、どのような点に注意をする必要があるのでしょうか。
(44歳会社員=男性)

 

A 豪州における企業向けの財物保険は、事業規模にもよりますが「Industrial Special Risks」(ISR)という保険で自前保有資産が火災などで損害を被った場合の保険を包括的に手配するのが一般的です。この保険は火災以外にも落雷、地震、爆発、風水災、騒じょうなど、基本的には除外と設定されているイベント以外の理由で発生した損害はすべてカバーするという、いわゆるオール・リスクス・タイプの保険となり、主な除外イベントである戦争、テロ、原子力、老朽化、浸食、洪水などを原因とする損害や、通常はほかの種目で対応すべき船舶、自動車、動植物、橋梁、地下施設など以外はすべてカバーします。

このISRでのカバー対象は自前での保有、もしくは保険をかける責任のあるすべての資産です。すべてとは文字通り建屋、什器備品、事務所家財、機械類、および在庫など、自身の損失として計上し得る物すべてということで、さらには第3者の所有物でも自身の占有下で損害の補てんをする義務がある物も含まれます。また、対象額の算出に当たっては再調達価格を使用しますので、古い資産の減価償却などは考慮に入れません。そうして算出した資産全部の再調達価格に、事故後に発生する残存物の撤去費用や設計士などへの費用、もしくは役所への建設許可費用やリーガル費用などを加えた合計が「Sum Insured」となります。これは保険料を算出する基準の数字となると同時に、保険対象とする拠点が1カ所の場合には、その金額が1回の事故で最大額支払われる保険金の額ともなります。

ご質問の「Limit of Liability」は複数の離れた拠点を持っている場合、すべてが同じく罹災する事態は考えられないことと、金額が大きくなって保険料が上がることを抑える意味もあり、一事故で最大限支払われる金額として別途想定し、「Limit of Liability」として補償限度額を設定する物です。

なお、在庫などの金額が流動的な物については、「Sum Insured」の場合も「Limit of Liability」の場合も保険料計算には年間の平均値を用い、限度額には最大値を使用します。各会社の事業が違うため業務パターンや形態に合わせて効果的な保険手配をすることが望ましいと言えるでしょう。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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