製品の欠陥に関わる保険について教えてください。

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Q 製品の欠陥に関わる保険について教えてください。最近ちまたではマンション傾斜問題のデータ改ざんや、自動車への不正プログラムの設定が発覚し大騒ぎになっているケースがありますが、そういった問題などとそれに関わる対応費用は重大な業務上のリスクとして無視できない存在となります。ついてはそれに関わる保険対応について、どのような方法があるのかお聞かせください。
(44歳会社員=男性)

A 昨今話題となっている某社の排ガス規制をめぐる不正問題では相当数の車がリコール対象となるといわれており、恐らく過去に類のない大規模な事例になることが予想されます。特に業界の特色として共通部品を複数車種に使用するなどで効率化を図ってきた流れが今回のような問題の影響を広範囲に広げる要因となり、社会的なインパクトも非常に大きなものとなるでしょう。

そこで話題となるのがリコール保険ですが、保険と言ってもさまざまなケースに合わせて対応する必要があり、主に考えられるものは以下の3種目となります。

●Products Recall(リコール)保険またはContamination Products(異物混入)保険
 この保険は製造物に偶発的に異物が混入した場合。もしくは第3者の悪意によって異物混入が行われた場合。さらには実際の混入があるかどうかは分からないまでも第3者の悪意によって異物混入を示唆された場合。または政府機関などからの勧告によって商品回収をせざるを得ない場合などのケースにおいて、回収費用、代替品を用意・輸送する費用、新聞などへの広告・告知費用、外部専門家を雇うなどのコンサルタント費用などとともに、異物混入によって引き起こされた事業中断から来る逸失利益をカバーします。
 なお、この保険の発動のためには第3者の資産や体に対する損害を引き起こした(もしくは引き起こす恐れがある)という状況が必要となります。

●Products Guarantee(品質保証)保険
 この保険は製造物の品質が約束通りに発揮されなかったことによって発生した第3者の経済的損失を補償します。つまり上記のような資産・体への直接被害という状況には限らずに保険が発動することになります。例えば製品の強度が設定より低かった、電池の発電効率が規定を満たさなかったなどのケースが考えられます。

●Products Liability(製造物賠償責任)保険
 この保険はいわゆるPL保険です。自社製品の欠陥(提供するサービスも製品と見なす)に起因して第3者の資産・体に損害を与えた場合の法的な損害賠償責任およびそれに関わる抗弁費用を補償する保険です。前述のリコール保険が自社の損失やリコールに起因する追加費用をカバーするのに対して、第3者からの損害賠償請求に対して保険カバーが発動するのが特徴です。

いずれの保険においても故意の行為・不正や、事前に事案発生を知り得る状態にあって適正な対応をしていなかった場合などは保険対象外となりますので、某自動車メーカーのケースでは、「なかなか困難な状況になるだろう」と保険業界は見込んでいます。


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斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

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