保険に関わるデューデリジェンス調査

何でも相談

Q 以前本稿で、企業の売買収、M & A に伴う表明保証保険( W& I =Warranty & Indemnity Insurance)の活用についての説明を拝見し非常に参考になりました。そこでは保険手配に伴うM&A関連リスクの回避が可能とのお話とともに、保険に関わるデューデリジェンス調査についても言及がありましたが、今回はそれについてもう少し詳しくお聞かせください。
(38歳会社員=男性)

A 企業の売買収の際には通常さまざまな側面からのデューデリジェンス調査を行い、リスク要因の洗い出しとその対処をするのは非常に一般的ですが、限られた時間と予算の中でどこまでターゲット企業の内情調査ができるかという問題があります。よって、以前は財務、税務、法務、労務などの主要な箇所のみにとどめ、保険関連までは行わないという事案も多かったのですが、表明保証保険の普及とそれに伴う相対的な保険料低減によって近年は保険関連のデューデリジェンス調査を行う事案も一般的になっています。

保険デューデリジェンス調査の項目は売買収取引のどの局面にて調査を行うかによって異なりますが、主なポイントは以下のようになります。

●対象となる主要リスクの識別・評価:想定した買収後の事業計画に対して重大な影響がないかの確認

●内容の調査分析(ヘルスチェック):既存保険プログラムが買収後に想定している事業計画に対して妥当かどうかの確認(補償内容・保険料レベルなど)

—既存保険プログラム内容のレビューと妥当性の確認
—過去の事故履歴のレビュー。特に賠償責任関連の未完案件が無いかの確認(例えば過去に販売した商品のPLリスクなど)
—既存保険プログラムにて付保されていないリスク、もしくは一部保険として過少に手配されているリスクなどがないかの洗い出し。未付保のリスクを保険に転嫁した場合、一部保険を是正した場合のコスト分析

●金融機関等のすべてのステークホルダーの利益を守るための妥当な保険レベルに対するコンサルティング

—買収先企業の保険対象リスクの洗い出し
—妥当かつ十分な補償限度額の検証
—妥当な免責額の検証
—上記を踏まえた保険条件およびコストでの引き受け可能保険会社の選定
—買収入札に際しても価格競争力のある保険料の予算感への助言
—法規制等に即した内容であることの確認

●法律事務所、会計事務所などとの連携によるギャップの洗い出し

その他、生命保険などの人事・福利厚生分野についても調査の対象に含めることが可能です。

表明保証保険で取引完了後に発生する想定外の不測の事態に備えると同時に、取引完了前にも保険のデューデリジェンス調査をすることでよりスムーズで安全な取引が可能となり、特に近年オーストラリアでは非常に一般的になりつつあります。


日豪プレス何でも相談

 

斉藤 大(さいとう だい)
エーオン・リスク・サービス・オーストラリア ジャパン保険サービス部

 

世界最大手のリスク・コンサルタント会社豪州法人の日系専門部署で日々日系企業顧客の法人・個人保険アレンジ、事故処理などを担当

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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